海外のNIPT(新型出生前診断)と日本のNIPTの違いは?海外の現状なども交えて解説

日本では2013年4月から臨床研究として行われてきたNIPT(新型出生前診断)、先ごろ一般診療化が決定したばかりですが、海外はどうなっているのでしょうか?日本と海外のNIPTの違いや、海外の現状などを解説していきます。

海外でNIPTを取り入れている国は?

NIPT(新型出生前診断)は、2011年にアメリカで開発された検査です。

従来の血液による出生前診断よりもきわめて高い精度を誇るスクリーニング検査として注目を浴び、今ではアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ベルギー、オランダなど世界各国で採用されています。

検査対象や公費補助などは、国によって、あるいは同じ国でも地域によって一定条件を設けるなどの違いがあるようです。

たとえば、イギリス、フランス、ドイツ、スイスなどは一定条件を設けることで公費による検査対象を限定していますが、ベルギーはそうした条件を設けず、すべての妊婦さんを対象にしているなど、各国それぞれ方針の違いがあります。

なお、オランダは日本と似ていて、臨床研究という形でNIPTが行われていますが、日本と違う点は公費負担してくれるという点です。日本では公費による補助等がありませんので、この点は大きく違うと言えるでしょう。

※日本においては、すでにNIPTの一般診療化が決定していますが、現状は保険診療の対象外のため、これまでと変わらず全額自己負担になります。

このように、海外でも積極的にNIPTが採用されていますが、その検査対象や公費補助の有無、その他の方針などは国によって異なります。

日本と海外のNIPTの違い

現在日本で採用されている一般的な新型出生前診断であるNIPTは、妊娠中の胎児の21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーという3種類の染色体異常の疑いについてのみ、調べることができる検査です。

しかしながら、海外ではNIPTの技術がどんどん進み、例えば、インドネシアでは上記3種類の染色体異常以外にモノソミーX(ターナー症候群)をはじめとするX、Y染色体の異数性や、欠失症候群などについても調べることができます。

日本が臨床研究を進めている間に、海外ではNIPTの技術の進歩を活かして、さまざまなことが分かるようになってきています。

また、NIPTに限ったことではありませんが、出生前診断全体で見てみると、

イギリス

妊娠11週のすべての妊婦さんに一部の出生前診断が無償提供されるほか、中絶を選択した場合の費用も公費負担してくれる

アメリカ

出生前診断にかかる費用のほとんどは保険で賄うことができる

ドイツ

妊娠葛藤法により、全国に無料相談所を設置し妊娠や中絶に対する悩みに応じる体制が整っている

このように、海外の方が日本と比べてサポート体制が充実しているという現状があります。

日本で今、最も海外に近いNIPTは“Serenity”だけ

日本との比較を交えながら海外における新型出生前診断のNIPTについて解説してきましたが、こうして見ても海外ではNIPTが非常に進んでいることが分かります。

一方、現在日本で採用されている一般的なNIPTは、21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーの3種類の染色体異常の疑いについてしか調べることができません。

そのNIPTも一般診療化が決定しましたが、それまでは臨床研究として、ごく一部の限られた病院などの施設でのみ行われていたため、NIPTの有用性を知っていながら「受けたくても受けられない」妊婦さんが非常に多いという課題を抱えています。

そんな日本において、今、最も海外に近いNIPTといえば、クーパーゲノミクス社の“Serenity”です。

2004年以降、すべての妊婦さんが出生前診断を受けるよう求められている「出生前診断先進国」イギリスにおいて、ラボとして正式に認可され、採用されているNIPTです。

“Serenity”には基本検査の“Serenity Basic”と、全染色体検査の“Serenity24”があり、一般的なNIPTよりも幅広い検査対象が特徴となっています。

“Serenity Basic”

21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーに加えて、モノソミーX(ターナー症候群)などの性染色体異常について調べることができるほか、希望者には性別判定を開示してくれます。

“Serenity24”

1~22番の常染色体異常に加えて、モノソミーX(ターナー症候群)などの性染色体異常について調べることができるほか、希望者には性別判定を開示してくれます。

一般的なNIPTでは3種類の染色体異常の疑いについてしか調べることができないうえ、本来NIPTで判定可能な性別も開示してもらえませんが、“Serenity”は性別判定を含め、検査対象が非常に幅広くなっています。

また、一般的なNIPTは検査費用、その他診察費等を合わせると高額になるケースが多いのに対し、“Serenity Basic”は19万5,900円(税別)、“Serenity24”は27万1,400円(税別)と、一般的なNIPTと比べて、安く検査を受けることができます。

実は“Serenity”が新型出生前診断の中で特別安い訳ではなく、こうした価格自体がすでに海外での標準的な価格となっているのです。

※費用は2018年5月時点の費用です。費用は変更となる可能性もあるため、詳細は医療機関までお問い合わせください。

こうしたことから、“Serenity”は今、日本で最も海外に近いNIPTと言われています。

現在、日本で“Serenity”を採用しているのは東京の八重洲セムクリニックと、大阪の奥野病院の2施設のみです。

NIPTを検討している妊婦さん、“Serenity”を受けてみたい妊婦さんはぜひ一度、病院に問い合わせてみてはいかがでしょうか?

産婦人科医 奥野幸彦 院長

医師監修:産婦人科医 奥野幸彦 院長

自己紹介

産婦人科医としてこれまで多くの相談を受ける中で、妊婦の方々がご出産までの約10ヶ間様々な不安な気持ちを抱えていることを知りました。そんな不安が少しでも減るように日々の治療・検査を通して妊婦の方々に向き合っていきます。

略歴

  • 1977年 大阪大学 医学部卒業
  • 1977年-1985年 大学病院・市民病院・救急病院などで勤務
  • 1986年 産婦人科・外科・内科を備える奥野病院を開院
  • 2000年 ジェンダークリニックを開院
  • 2017年 八重洲セムクリニックを開院

保有資格等

  • 日本医師会 認定産業医
  • 国際出生前診断学会会員
  • 日本産婦人科学会 認定医
  • 母体保護法指定医