NIPT(新型出生前診断)とクアトロテストの特徴や精度、検査結果の捉え方の違いなどについて

出生前診断のうち、スクリーニング検査に分類されるNIPT(新型出生前診断)やクアトロテスト(母体血清マーカーテスト)について、それぞれの特徴、精度、検査結果の捉え方の違いなどを解説するとともに、最新のNIPT“Serenity”をご紹介します。

NIPTとクアトロテスト、それぞれどんな検査?

母体から採血し、その血液成分を分析することで妊娠中の胎児になんらかの染色体異常の疑いがないかどうか調べるという検査手法はNIPT、クアトロテストともに同じですが、次の点で両者は大きく違います。

※NIPTとクアトロテスト、検査を受けるための条件の違いは?

現在日本で採用されている一般的なNIPTは、検査を受けるために厳しい条件が設けられています。

妊娠10~18週の期間内

出産予定日時点で妊婦さんが35歳以上

夫婦のいずれかまたは両方になんらかの染色体異常が見られる

過去に染色体異常の胎児を妊娠または出産したことがある

このような条件に当てはまらなければ検査を受けることができません。

一方、クアトロテストは、

妊娠15~21週(17週までが推奨されています)

上記の期間内であれば、その他の特別な条件なしに受けることができます。

※NIPTとクアトロテスト、検査で分かることの違いは?

現在日本で採用されている一般的なNIPTでは、21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーという3種類の染色体異常の疑いについて調べることができます。

一方、クアトロテストでは、21トリソミー、18トリソミー、開放性神経管奇形という3種類の染色体異常や先天性疾患の発生率を調べることができます。

検査結果はNIPTが「陽性」「陰性」で通知されるのに対し、クアトロテストは「1/500」などの確率で通知されるのが一般的です。※同じ1/500の結果を得た妊婦さんが500人いたとすると、その中の1人が対象疾患の赤ちゃんを妊娠している可能性があると解釈します。

なお、NIPT、クアトロテストのいずれも検査結果は「確定」ではありません。

そのため、検査においてなんらかの染色体異常の疑いや先天性疾患の可能性があるという結果が出た場合、羊水検査などの確定診断を受けることになります。

クアトロテストではなくNIPTを希望する妊婦さんが増えている理由

NIPTは、クアトロテストと比べて感度(実際に染色体異常があり、検査結果でも陽性と出る確率)や特異度(実際に染色体異常がなく、検査結果でも陰性と出る確率)からみる検査精度がきわめて高いという特徴があります。

ただし、NIPTを受けて「陽性」の検査結果が出た場合、その陽性的中率は妊婦さんが35歳で79.9%程度、40歳で93.7%程度であるため(※21トリソミー)、わずかながら偽陽性の可能性があります。

そのため「陽性」の検査結果が出た場合、羊水検査などの確定診断を受け、検査結果を確定させることになります。

しかしながら「陰性」の検査結果だった場合、その陰性的中率は99.9%と非常に高くほぼ安心できることから、1/200~1/300の確率で流産のリスクがある羊水検査を避けることができる検査です。

NIPTはこのように、クアトロテストと比べて非常に高い検査精度を実現しています。NIPTが日本で提供され始めた2013年以降、検査を希望する妊婦さんが増えているのはこのためです。

「クアトロテストではなくNIPTを受けたい」そんな時に知っておきたい“Serenity”とは?

現在日本で採用されている一般的なNIPT(新型出生前診断)は、クアトロテストと比べて検査精度がきわめて高いため、検査を希望する妊婦さんが増えているとお伝えしました。

ところが、前述したように、NIPTを受けるためには、

妊娠10~18週の期間内

出産予定日時点で妊婦さんが35歳以上

夫婦のいずれかまたは両方になんらかの染色体異常が見られる

過去に染色体異常の胎児を妊娠または出産したことがある

といった条件に当てはまらなければならないうえ、

NIPTを受ける病院で分娩予定でなければならない

かかりつけ医からの直接の検査予約や紹介状が必要

などの病院側が独自に定めているルールに従わなければなりません。

そのため、

「本当はNIPTを受けたいのに、年齢制限によって受けられず、クアトロテストを受けることにした」

「NIPTを希望したがかかりつけ医が承諾してくれず、クアトロテストを受けた」

など“NIPTを受けたくても受けられない妊婦さん”が増えていることが課題となっています。

しかしながら、日本にはクアトロテストと比べて精度が大幅に向上しているだけでなく、年齢制限もないためより多くの妊婦さんが受けることができるNIPTがあるのをご存知でしょうか?

出生前診断先進国イギリスにおいて、ラボとして正式に認可され採用されている、クーパーゲノミクス社の“Serenity”というNIPTで、妊娠10週以上で不安を抱えている妊婦さんであれば、年齢制限を気にせず受けることができるNIPTです。

そのうえ、分娩指定やかかりつけ医からの直接の検査予約および紹介状なども必要ありませんので、妊婦さんが直接予約し、検査を受けることができます。

現在、日本でこの“Serenity”を採用しているのは、東京の八重洲セムクリニックと、大阪の奥野病院です。

“Serenity”について詳しく知りたい妊婦さんはぜひ一度、病院に問い合わせしてみてはいかがでしょうか?

産婦人科医 奥野幸彦 院長

医師監修:産婦人科医 奥野幸彦 院長

自己紹介

産婦人科医としてこれまで多くの相談を受ける中で、妊婦の方々がご出産までの約10ヶ間様々な不安な気持ちを抱えていることを知りました。そんな不安が少しでも減るように日々の治療・検査を通して妊婦の方々に向き合っていきます。

略歴

  • 1977年 大阪大学 医学部卒業
  • 1977年-1985年 大学病院・市民病院・救急病院などで勤務
  • 1986年 産婦人科・外科・内科を備える奥野病院を開院
  • 2000年 ジェンダークリニックを開院
  • 2017年 八重洲セムクリニックを開院

保有資格等

  • 日本医師会 認定産業医
  • 国際出生前診断学会会員
  • 日本産婦人科学会 認定医
  • 母体保護法指定医