クラインフェルター症候群など性染色体異常も調べることができるNIPT(新型出生前診断)、“Serenity”とは?

男性にのみあらわれる性染色体異常のひとつ「クラインフェルター症候群」について、基礎知識を解説するとともに、クラインフェルター症候群などの性染色体異常について調べることができるNIPT(新型出生前診断)“Serenity”をご紹介します。

クラインフェルター症候群とは?一般的なNIPTで調べることはできる?

クラインフェルター症候群という名前を初めて聞いた、または聞いたことがあるけれど詳しく知らないという方のために、まずはクラインフェルター症候群について簡単にご説明します。

クラインフェルター症候群は、男性だけに見られる性染色体異常のひとつです。

通常、男性の性染色体はXYですが、X染色体がひとつ以上多いXXYやXXXYなどの状態になることであらわれます。

主な症状としては、精巣の発育不全、無精子症、学習障害(言語障害)などがあり、身体的特徴として高身長、長い腕と脚、細い体などが挙げられます。

また、クラインフェルター症候群の男性は、他の男性と比較して、糖尿病、慢性肺疾患、甲状腺機能低下症、乳がんなどが発症しやすい傾向にあると言われています。

日本におけるクラインフェルター症候群の患者数は6万人以上と言われていますが、症状が軽いために診断を受けていない人や、クラインフェルター症候群と気付かずに生活している人も多数いるとされており、実際の患者数は分かっていません。

クラインフェルター症候群は性染色体異常が引き起こす疾患ですが、NIPTで発見することはできるのでしょうか?

現在、日本で採用されている一般的なNIPTは、妊娠中の胎児の21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーの疑いについてしか調べることができません。

性染色体については調べることができないため、クラインフェルター症候群などの性染色体異常を発見することができないのです。

そのため、性染色体異常について調べたいと思った時は、羊水検査を受けるのが一般的です。

しかしながら、羊水検査は精度こそほぼ100%ですが、母体の腹部に針を刺すため、1/200~1/300の確率で流産などを引き起こすリスクがあると言われています。

クラインフェルター症候群は生命予後が良いとされていますので、流産のリスクを負ってまで羊水検査を実施するかどうかは、慎重に判断しなければなりません。

実は日本で性染色体異常の疑いについて調べることができるNIPTがあるのをご存知でしょうか?

クラインフェルター症候群など性染色体異常の疑いについて調べることができるNIPTとは?

クラインフェルター症候群など性染色体異常の疑いについて調べることができるNIPT(新型出生前診断)、それは“Serenity”と呼ばれる検査で、出生前診断先進国イギリスにおいて、ラボとして正式に認可され採用されている、クーパーゲノミクス社のNIPTです。

“Serenity”には基本検査の“Serenity Basic”と、全染色体検査の“Serenity24”という2種類の検査があり、それぞれ検査対象は次のようになります。

“Serenity Basic”

21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーに加えて、モノソミーX(ターナー症候群)やクラインフェルター症候群など性染色体異常について調べることができるほか、希望者には性別判定も開示してくれます。

“Serenity24”

1~22番の常染色体すべてと性染色体異常について調べることができるほか、希望者には性別判定を開示してくれます。

いかがでしょうか?

現在日本で採用されている“Serenity”以外のNIPTでは、21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーという3種類の染色体異常についてしか調べることができず、“Serenity”のように全染色体検査や性別判定の結果の開示は行っていません。

検査対象以外にも、“Serenity”と、それ以外のNIPTでは次のような違いがあります。

※検査を受けるための条件

“Serenity”は妊娠10週以上で不安を抱えている妊婦さんであれば年齢制限を気にせずに受けることができます。

しかし、“Serenity”以外のNIPTでは、

妊娠10~18週の期間内

出産予定日時点で妊婦さんが35歳以上

夫婦のいずれかまたは両方になんらかの染色体異常が見られる

過去に染色体異常の胎児を妊娠または出産したことがある

といった条件に当てはまらなければ受けることができません。

※検査精度

“Serenity”とそれ以外のNIPTの陽性的中率の違いを、21トリソミーの例で見てみましょう。

妊婦さんの年齢が30歳の時

“Serenity”の陽性的中率 72.6%

その他のNIPTの陽性的中率 61.3%

妊婦さんの年齢が35歳の時

“Serenity”の陽性的中率 86.9%

その他のNIPTの陽性的中率 79.9%

妊婦さんの年齢が40歳の時

“Serenity”の陽性的中率 96.1%

その他のNIPTの陽性的中率 93.7%

このように、検査精度自体も大きく向上しています。

一般的なNIPTよりも検査対象が幅広い“Serenity”を受けるには?

今回はクラインフェルター症候群の基礎的な部分を解説するとともに、性染色体異常の疑いについて調べることができる“Serenity”をご紹介してきました。

現在、日本で“Serenity”を採用しているのは、東京の八重洲セムクリニックと、大阪の奥野病院です。

妊娠や出産に対して不安を抱えている妊婦さん、より精度が高く幅広い検査対象を実現したNIPT“Serenity”を受けたい妊婦さんはぜひ一度、病院に問い合わせしてみてはいかがでしょうか?

産婦人科医 奥野幸彦 院長

医師監修:産婦人科医 奥野幸彦 院長

自己紹介

産婦人科医としてこれまで多くの相談を受ける中で、妊婦の方々がご出産までの約10ヶ間様々な不安な気持ちを抱えていることを知りました。そんな不安が少しでも減るように日々の治療・検査を通して妊婦の方々に向き合っていきます。

略歴

  • 1977年 大阪大学 医学部卒業
  • 1977年-1985年 大学病院・市民病院・救急病院などで勤務
  • 1986年 産婦人科・外科・内科を備える奥野病院を開院
  • 2000年 ジェンダークリニックを開院
  • 2017年 八重洲セムクリニックを開院

保有資格等

  • 日本医師会 認定産業医
  • 国際出生前診断学会会員
  • 日本産婦人科学会 認定医
  • 母体保護法指定医