ヨーロッパではNIPT(新型出生前診断)は当たり前?日本との違いとは

日本では2018年3月に一般診療化されたNIPT(新型出生前診断)ですが、ヨーロッパではどのくらい普及しているのでしょうか。今回は、NIPT(新型出生前診断)に関するヨーロッパと日本の違いについて解説していきます。

ヨーロッパをはじめとする海外でのNIPT(新型出生前診断)の現状とは?

日本では赤ちゃんの成長を確認するときに超音波検査(エコー検査)を用いますが、これ以外の出生前診断は、妊婦さんが任意で選択していくこととなります。

検査費用の補助はないため、NIPT(新型出生前診断)と同じように採血で実施する母体血清マーカーテストでも、2〜5万円ほどの負担が生じます。

しかし、ヨーロッパをはじめとする海外の国々では状況が違います。ヨーロッパでは、母体血清マーカーテストや胎児ドッグは“コンバインド検査”として組み合わせて実施することが推奨されることが多いです。

さらに、この検査にかかる費用は、多くの場合で公費が用いられ、比較的安価となっているのです。

ヨーロッパと日本では状況が大きく異なるため、出生前診断を受ける妊婦さんの割合という点でも違いがあります。国による違いはあるものの、ヨーロッパでは60〜90%の人が何らかの出生前診断を受けているといわれています。

その一方、日本では2014年の調査で、何らかの出生前診断を受けた、あるいは受ける予定という妊婦さんの割合は17%にとどまっています。

ただ、日本では採血だけで済み、母体血清マーカーテストよりも精度が高いNIPT(新型出生前診断)の認知度が高まってきています。

高齢出産が増えているという背景からも、今後、NIPT(新型出生前診断)を受ける人は増加することが予想されます。

NIPT(新型出生前診断)を含めた出生前診断にまつわる色々、ヨーロッパと日本では何が違う?

出生前診断を受けて“陽性”という結果だった場合は、“産まない”という選択肢も含めて今後について考えることになります。陽性だった場合の中絶率に関しては、フランスで77%(2015)、デンマークで98%(2015)というデータがあり、日本でも90%以上とされています。

ヨーロッパも日本も中絶率が高いため、命の選別につながるのではないかと懸念する声もあります。しかし、実際には検査を受けるかどうか悩み抜かれた過程があり、両親となるご夫婦の年齢や経済状況など、さまざまな点をふまえて苦渋の決断をされているのです。

最終的には、子どもを授かった両親が育児をすることになるため、ご夫婦の考え方や状況が重要となるでしょう。

そのため、出生前診断では、妊婦さんの不安や葛藤に対する十分なカウンセリングが不可欠です。日本ではそもそも出生前診断を受ける人の割合が少ないこともあり、十分なカウンセリングの機会が与えられていないと感じる方もいるようです。

たとえば、ドイツの場合は、出生前診断で陽性だった場合に中絶するかどうか悩んでいる妊婦さん向けに、“妊娠葛藤相談所”というものが用意されています。中絶を悩んでいる方はこの施設の利用が義務付けられており、医師や相談員がさまざまな面からフォローを行います。

同じヨーロッパの事例では、イギリスの取り組みも充実した内容になっています。検査で陽性という結果を受けても産むという選択をした場合、障害のある子どもが保育園に通うときの予算が割り当てられたり、学校に通うときは支援員が一人配置されたりするのです。

ドイツやイギリスの例にあるように、ヨーロッパでは出生前診断を受けたあとサポートが充実しています。日本ではそのようなサポートが不足していますが、それだけヨーロッパの取り組みが進んでいるととらえることができるでしょう。

日本でもNIPT(新型出生前診断)のように、簡単で負担の少ない出生前診断が登場していますが、結果の受け止め方などは事前にご夫婦でよく話し合っておくことが望ましいです。

現在、日本で受けられるNIPT(新型出生前診断)をご紹介!

ヨーロッパでは出生前診断にかかわる体制がしっかりと構築されているという印象を受けますが、日本でも事前のカウンセリングやアフターフォローがしっかりしたNIPT(新型出生前診断)を受けることができる機関はあります。

NIPT(新型出生前診断)は受ける機関によって内容や制限に違いがあるので、事前によく調べておくと良いでしょう。

一般的な国内のNIPT(新型出生前診断)では、13トリソミー、18トリソミー、21トリソミーという3つの染色体異常について調べます。

しかし、東京の八重洲セムクリニックと大阪の奥野病院が提供している“ベリファイ”というNIPT(新型出生前診断)では、従来の検査と同じ検査項目に加えて、性染色体異常についても調べることができます。

また1番から22番までの常染色体と性染色体異常が検査項目となった全染色体検査ベリファイプラスも選択可能です。また性別判定も検査項目に含まれています。

NIPT(新型出生前診断)は確定診断ではなくスクリーニング検査に分類されるため、陽性ではないのに陽性と判定される“偽陽性”になる可能性があります。

しかし、陰性的中率に関しては非常に高く、99.99%とされているため、検査した染色体に異常がないことはほとんど確実にわかるということになります。

出生前診断にはいくつかの方法がありますが、NIPT(新型出生前診断)を検討する場合、内容が充実したベリファイを視野に入れてみてはいかがでしょうか。

産婦人科医 奥野幸彦 院長

医師監修:産婦人科医 奥野幸彦 院長

自己紹介

産婦人科医としてこれまで多くの相談を受ける中で、妊婦の方々がご出産までの約10ヶ間様々な不安な気持ちを抱えていることを知りました。そんな不安が少しでも減るように日々の治療・検査を通して妊婦の方々に向き合っていきます。

略歴

  • 1977年 大阪大学 医学部卒業
  • 1977年-1985年 大学病院・市民病院・救急病院などで勤務
  • 1986年 産婦人科・外科・内科を備える奥野病院を開院
  • 2000年 ジェンダークリニックを開院
  • 2017年 八重洲セムクリニックを開院

保有資格等

  • 日本医師会 認定産業医
  • 国際出生前診断学会会員
  • 日本産婦人科学会 認定医
  • 母体保護法指定医