NIPT(新型出生前診断)で胎児が知的障害かどうかを診断することは可能?

知的障害のある赤ちゃんを授かったら、「育てることができるかどうか自信がない」という方もいるでしょう。

出生前診断のうち、比較的新しい検査であるNIPT(新型出生前診断)では、採血だけで済むという利点があります。

今回は、この検査で赤ちゃんに知的障害があるかどうかを判定することが可能なのかを解説していきます。

NIPT(新型出生前診断)で知的障害は判明する?

NIPT(新型出生前診断)は、母体から少量の血液を採取して調べるだけで、赤ちゃんに染色体異常がないか、分析できる検査です。

結論からお伝えすると、NIPT(新型出生前診断)で知的障害の有無について判定することはできません。

NIPT(新型出生前診断)では染色体異常について調べることになりますが、一般的には13番、18番、21番の染色体に生じるトリソミーという異常が検査の対象となっています。

トリソミーとは、通常だと2本で1対の染色体が1本増えて3本になる数的異常のことです。

ヒトには1〜22番の常染色体の他、性別を決める1組の性染色体というものがありますが、このうち3つの染色体を調べていくのです。

21トリソミーは、21番の染色体に起きるトリソミーのことであり、染色体異常としてよく知られているダウン症候群となります。

ダウン症候群の子供は中等度の知的障害であることが多いといわれています。

しかし、ダウン症候群の子供における知的障害の程度については個人差もあり、成長や経験によって変化することもあります。

NIPT(新型出生前診断)でダウン症候群の判定が陽性となっても、知的発達には個人差があるため、一概に知的障害とは断言できません。

IQが70を下回る場合には知的障害と定義されることになりますが、70〜85では境界領域知能と呼ばれ、こちらは知的障害に該当しません。

NIPT(新型出生前診断)で陽性の場合、必ずしも知的障害があるわけではない

NIPT(新型出生前診断)で陽性の場合でも、必ずしもダウン症候群や、それに伴う知的障害があるというわけではありません。

NIPT(新型出生前診断)は比較的精度が高く、特に陰性的中率は99.99%とされています。陰性的中率とは、検査で陰性という結果になった方のうち、実際に染色体異常がなかった方の割合を示すものです。

つまり、検査で陰性の結果であれば、99.99%の確率で赤ちゃんには染色体異常がないということになります。

ただ、陽性的中率については少し確率が下がります。

陽性的中率とは、検査で陽性だった方のうち、実際に染色体異常があった方の割合を表す確率のことです。仮に陽性的中率が90%であれば、検査で陽性という結果が出た人のうち、10%は実際には陰性であることを意味します。

本来は陰性なのに、陽性の判定になることを“偽陽性”といいます。

陽性的中率は検査を受ける妊婦さんの年齢や調べる病気によっても変わります。

ダウン症候群の場合は、30歳の方で61.3%、35歳の方で79.9%、40歳の方で93.7%の陽性的中率となります。

NIPT(新型出生前診断)で陽性の結果が出ても、偽陽性の可能性があるので、陽性だった場合には確定診断を受けることが一般的です。

羊水検査には流産などのリスクを伴うため、まずは負担の少ないNIPT(新型出生前診断)などのスクリーニング検査を行うことが主流になっています。

「知的障害」と見るか?「個性」と見るか?

ダウン症候群の子供は、運動発達がゆっくりであり、知的障害を伴うことも多いです。子供に知的障害があると、やはり将来のことが心配になってしまうものでしょう。

知的障害だけに焦点を当てるのではなく、子供の“個性”に着目することはとても大切です。

実際に、ダウン症候群の方の中には、書道家の金澤翔子さん、指揮者のジョウ・ジョウさんなど、才能を活かして活躍している方もいます。

また、ダウン症候群や知的障害がある方が受けられる療育というものもあります。

療育では、専門家の指導を受けながら、その子供の発達や家族の心理的なサポートを行っていきます。障害の程度によって利用できる制度や支援もあるため、自治体の障害福祉担当窓口で相談することもできます。

事前準備のためにNIPT(新型出生前診断)を受けるのも選択肢のひとつ

赤ちゃんにダウン症候群や知的障害があるとわかったとき、悲嘆にくれるご両親もいます。やはり子供に障害があるとわかれば、「うまく育てていけるだろうか」と不安になってしまう方も少なくありません。

妊娠中にNIPT(新型出生前診断)を受けておくと、ダウン症候群があるかどうか分析結果を受け取ることができるので、事前に夫婦で話し合う時間を持てるメリットがあります。

時間をかけてダウン症候群や知的障害について情報収集をすることもでき、夫婦で冷静に考える機会を持てます。

心の準備をしておくという目的で、NIPT(新型出生前診断)を受ける方もいらっしゃいます。特に母体の年齢が上がるほど染色体異常のリスクは上昇するため、不安を抱えている方は検査を検討してみても良いかもしれません。