NIPT(新型出生前診断)とは?検査内容とNIPTの問題点

妊娠中、少しでも不安や不確定要素を減らしたいと、出生前診断の受診を検討したことがある方もいるのではないでしょうか。

最近では新しい出生前診断の「NIPT」の受診者数が年々増加しており、話題となっています。NIPTは他の出生前診断に比べて優れている部分が多いですが、受けられる条件が限られていたり、十分なカウンセリングを実施できていない施設があったり、施設によって受診環境は大きく異なります。

NIPTとはどんな検査なのか、従来の検査と比べてどんな点が優れているのか、逆にどんな点に留意するべきなのか、といったNIPTの基礎知識だけでなく、NIPTの問題点、NIPTを受ける基準を設置した日本産婦人科学会の指針、指針を導入したことで起きた問題点、といった日本におけるNIPTの現状も合わせてご紹介します。

本当に自分はNIPT受けるべきなのか、また受けるとしたら何を考慮して検査を受けるべきなのかを考えるきっかけになれば幸いです。

NIPT-新型出生前診断-とは

NIPTとは出生前診断(出生前遺伝学的検査、出生前検査とも呼ばれる)の中でも新しい診断です。そもそも出生前診断とは、赤ちゃんが何か病気を持っていないか確認する検査です。例えば、妊婦健診の際に受けるエコー検査も出生前診断の一部です。

出生前診断の進歩は凄まじく、10年で受診者が2.4倍になっています。このことからも妊婦さんの中で関心が高いことがわかります。特に、出生前診断の関心が高まったのは、2011年に米国が開発したNIPT(Noninvasive prenatal genetic testing)を日本に導入したことがきっかけです。NIPTコンソーシアムによると、導入開始(2013年)してから2018年3月末までの5年間で58,150件も実施されています。

NIPTは「無侵襲的出生前遺伝学的検査母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査」、「新型出生前診断」と様々な名称で呼ばれていますが、全て同じ検査を指します。

このコラムではNIPTで統一します。

出典元:
NIPTコンソーシアム「NIPTコンソーシアムの実績と報告」
(2019年6月10日最終閲覧)

検査でわかること(検査項目)

検査でわかることはそれぞれの出生前診断によって異なります。NIPTでは大きく分けて染色体の数的異常が原因の疾患と、微小欠失症候群、また、疾患ではありませんが性別が検査項目です。

数的異常が原因の疾患

ダウン症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)、パトー症候群(13トリソミー)、ターナー症候群(モノソミーX)、を含む全染色体の数的異常が検査対象です。トリソミーとは通常2本対で存在する染色体が3本存在する数的異常で、モノソミーは1本しか存在しない数的異常です。英数字は染色体番号と、性染色体の種類(男がYで女がX)を表しています。

症状は、どの染色体に異常が起きるかで異なります。例えば、通常2本あるはずの21番染色体が3本存在する21トリソミー (ダウン症)は運動や知的能力の発達が遅いですが、女性の性染色体(XX)が1本しかないモノソミーX (ターナー症候群)は知的能力の遅れはありません。

微小欠失症候群

微小欠失症候群とは、染色体の一部かけてしまったり、重複してしまう染色体異常です。1p36欠失症候群、4p欠失症候群、5p欠失症候群、15q11.2欠失症候群、22q11.2欠失症候群が検査対象です。p以前の数字が異常をきたす染色体番号で、p以降がその染色体の中でどの部分が欠失しているのかを表しています。症状は、どの染色体に異常が起きるかで異なります。

例えば、難病情報センターによると、22q11.2欠失症候群を患う方の80%が先天性心疾患を合併しており、予後にも大きな影響を及ぼしますが、1p36微小欠失では成長障害、重度の精神発達遅滞、てんかんなどが主な症状で、先天性心疾患を合併する可能性もありますが、22q11.2欠失症候群ほどではありません。

性別

性染色体も検査対象のため生まれてくる胎児が男か女かわかります。

従来の母体血清マーカーテストでは13トリソミーなどの検査はできず、13トリソミーを検査したい場合はリスクのある確定診断を受けなければなりませんでした。しかし、NIPTは、13トリソミーを含む全染色体を調べることができます。

しかし、検査機関や検査方法によって検査で判明する疾患は異なります。例えば、日本産婦人科学会の認定施設ではダウン症候群(21トリソミー)、エドワーズ症候群(18トリソミー)、パトー症候群(13トリソミー)の3つの疾患しか検査しません。日本産婦人科学会の認定施設については後ほど説明します。

出典元:
難病情報センター 「22q11.2欠失症候群(指定難病203)」
難病情報センター 「1p36欠失症候群(指定難病197)」
(2019年6月10日最終閲覧)

NIPTの費用

NIPTの費用は約20万円かかります。高額ですが、全額自己負担になります。通常、公的健康保険は治療に繋がる医療行為に対して控除を実施していますが、NIPTは治療に繋がらないため、控除の対象外という扱いになります。

また、値段は検査項目によって変動します。例えば、大阪にある奥野病院と東京にある八重洲セムクリニックのNIPTの価格表は以下のようになっています。

  • 基本検査(検査項目:21トリソミー、18トリソミー、13トリソミー、性別)が195,900円
  • 全染色体検査(検査項目:21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーを含む1〜22番染色体の検査、性別)が220,000円
  • 全染色体検査+微小欠失検査(検査項目:21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーを含む1〜22番染色体の検査、微小欠失症候群、性別)が230,000円

病院によっては、奥野病院と八重洲セムクリニックのように検査費用に陽性の際の羊水検査費用も含まれている場合があります。

NIPTの特徴

NIPTは従来の検査と比べ、格段に進化しています。出生前診断ごとにそれぞれ特徴がありますが、以下の三点を全て兼ね備えていた検査は今までありませんでした。

①採血のみで検査ができるためリスクが小さい。

新型出生前診断は母体の血液を調べる検査です。検査の流れは以下のようになっています。

  1. 母体から20ml採血します。
  2. 母体血中には胎児由来のDNA断片が含まれています。DNAの情報を読み取り、どの染色体由来のものなのか調べます。
  3. DNAの本数を染色体番号ごとに並び替え、標準値と比較します。例えば21トリソミーとは通常2本の21番染色体が3本ある染色体異常ですので、標準値と比べてDNAが1,5倍ある場合は21トリソミーであると判定されます。

従来の羊水検査と比べると、羊水穿刺(針を刺すこと)をしないため、流産(0.3%の割合)母体障害、破水、出血、羊水塞栓症、子宮内感染症などのリスクはありません。

②精度が今までの検査と比べ99.99%と非常に高精度のため、陰性と結果が出た場合リスクのある羊水検査を避けることができる。

検査の精度は35歳の場合以下のようになっています。

NIPT(ベリナタヘルス社)

  • 21 トリソミー
    陽性的中率 : 98.90%陰性的中率: 99.99%
  • 18 トリソミー
    陽性的中率 : 90.00%陰性的中率: 99.90%
  • 13 トリソミー
    陽性的中率 : 99.99%陰性的中率: 99.90% 
  • 1~22 番の常染色体の合計
    陽性的中率 :98.7% 陰性的中率:99.95%
  • モノソミーX
    陽性的中率 : 95.00%陰性的中率: 99.00%
  • XX 染色体
    陽性的中率 : 97.60%陰性的中率: 99.20%
  • XY 染色体
    陽性的中率 :99.10%陰性的中率: 98.90%

※陽性的中率のことを感度、陰性的中率を特異度とも言いますが、このコラムでは陽性的中率と、陰性的中率で統一します。

従来の母体血清マーカーテストは、陽性的中率が80%と低く、かつ結果が確率で表示されていました(例:◯◯分の1の確率で染色体異常が認められます)。そのため、数字の解釈次第では実際に陰性でも確定診断を受ける必要がありました。

一方で、NIPTは高精度で、中でも陰性的中率が99,99%と非常に高い検査です。さらに、結果は陰性か陽性か表示されるため、陰性の場合はリスクのある確定診断を回避することができます。

しかし、NIPTの精度は医療機関よって異なりますので確認が必要です。日本国内でもベリナタヘルス社のNIPTをはじめとした、精度の高い検査を受けることは可能です。

③妊娠10週目から受けられるため余裕を持って検査を受けられる。

NIPTは妊娠初期の10週目から検査が可能です。従来の検査は一番早く受けられる検査でも11週目からでした。(絨毛検査とコンバインド検査)

さらに、絨毛検査には流産などのリスクがあること、コンバインド検査は精度が83%と低いことなど、検査を早く受けられる分諦めなければいけない点もありました。そのため、早い時期から検査を受けることをためらう方もいらっしゃいました。

NIPTは妊娠10週目から受けられるため、赤ちゃんをどう育てていくか話し合う時間をより多く取ることができます。

NIPTの注意点

NIPTは他の出生前診断に比べメリットが多いですが、留意しておくべきポイントもあります。今回はNIPTを受けるに当たって理解しておきたい留意点をご説明します。

精度は高いが確定診断ではない

先ほどご説明した通り、陽性的中率は98,90%です。つまり、1.1%は陽性と診断をされても、実際は胎児に異常はない場合(偽陽性)があります。そのため、もし陽性の場合は羊水検査などの確定診断を受ける必要があります。

また、陰性と診断されても、実際には胎児に異常がない(偽陰性)の可能性もかなり低いとはいえ、完全に否定できるわけではありません。

NIPTコンソーシアムによると、今までの5年間で追跡調査ができた陰性35,485件の検査のうち、3件は陰性と診断されたにも関わらず実際には染色体異常が判明しました。

出典元:
NIPTコンソーシアム「NIPTコンソーシアムの実績と報告」
(2019年6月10日最終閲覧)

他の出生前診断と同じでうまく結果が出ない場合もある(検査の限界)

NIPTの検査の限界は主に3つです。

1つ目は溶血の可能性があることです。

溶血とは、血液中の赤血球が壊れてしまうことです。母親が染色体の異数性(トリソミーなど)や不均衡型転座の保持者である場合や胎児に不均衡型転座が疑われる場合に起こる可能性があります。

2つ目はQCエラーの可能性があることです。

QCエラーとは、検査機関側の検査機器の測定要件に適合しない時に起こるエラーです。

どちらの場合も血液を送付し直すことで再検査可能です。溶血が起きた例は全体の0.01%以下となっており、この 3 年以内では発生していません。

またこのような検査の限界はどの出生前診断にも一定存在し、新型出生前診断だけ特別エラーが出やすいといったことはありません。従来の出生前診断も含め、100%正確で安全な検査はないことを理解しておきましょう。

3つ目は対象集団によって検査の的中率が変わることです。

先ほど紹介したNIPTの精度は妊婦が35歳の場合です。年齢が下がると精度も下がっていきます。特に陽性の診断精度は変化が激しいです。例えば、25歳の方の21トリソミーの検査精度は陽性的中率:90%程度 陰性的中率:99.99%程度です

とはいえ従来の出生前診断の陽性的中率と比べると非常に高い水準であることは間違いありません。例えば、河合蘭さんの著書「出生前診断 出産ジャーナリストが見つめた現状と未来 (朝日新書)」によると、従来の母体血清マーカー検査における35歳の方の21トリソミーの陽性的中率は2,81%と、NIPTの陽性的中率と比べるとその差は歴然です。

日本におけるNIPTの現状と問題点

現在NIPTは2013年3月9日に発表した「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」に沿って検査を行なっています。

指針を設けたのには理由があります。

それは、NIPTが広く普及することは、妊婦さんや赤ちゃんだけでなく、障害を持っている方など、多くの方に影響があり、1歩間違えると関係する人々の命の否定に繋がってしまうからです。

日本を取り巻くNIPTの現状として

・NIPTが普及していくに当たっての懸念点

・問題を未然に防ぐために作られた指針の内容

・指針を設置したことによって出てきた新たな問題点

をご説明します。上記の問題点を踏まえ、本当にNIPTを受けるべきなのか、受けるとしたら何処の病院で受けるのかなど、夫婦で話し合い、納得した答えを出して頂きたいと思います。

NIPTの問題点と日本産婦人科学会が指針を発表した背景

NIPTは高い精度の検査を採血のみで受けられることがメリットです。

しかし、日本産婦人科学会ではその簡便性が故に以下のような懸念を示しています。

その簡便さを理由に母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査が広く普及すると、染色体数的異常胎児の出生の排除、さらには染色体数的異常を有する者の生命の否定へとつながりかねない。
※引用:日本産婦人科学会「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」
(2019年6月10日最終閲覧)

何故ならNIPTは以下のような問題点があるからです。

(1) 妊婦が十分な認識を持たずに検査が行われる可能性があること。
(2) 検査結果の意義について妊婦が誤解する可能性のあること。
(3) 胎児の疾患の発見を目的としたマススクリーニング検査として行われる可能性のあること。
※引用:日本産婦人科学会「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」
(2019年6月10日最終閲覧)

要するに、日本産婦人科学会は、妊婦が検査の意義や結果の認識不足のまま受検すると、結果次第ではかえって動揺、混乱してしまい、安易な中絶や、障害を持っている方の命の否定に繋がってしまうということを危惧しています。

そのような問題を未然に防ぐためNIPTは

  • 検査対象になる妊婦の制限
  • 検査対象疾患の制限
  • 検査実施機関の制限

を条件に2013年3月9日に「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」を作成し、臨床研究として導入開始しました。

対象となる妊婦とは

同指針内では以下のように対象になる妊婦を限定しています。

対象となる妊婦を母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査を受けることを希望する妊婦のうち、次の1~ 5のいずれかに該当する者とする。
① 胎児超音波検査で、胎児が染色体数的異常を有する可能性が示唆された者。
② 母体血清マーカー検査で、胎児が染色体数的異常を有する可能性が示唆された者。
③ 染色体数的異常を有する児を妊娠した既往のある者。
④ 高齢妊娠の者。
⑤ 両親のいずれかが均衡型ロバートソン転座を有していて、胎児が 13 トリソミーま たは 21 トリソミーとなる可能性が示唆される者。
※引用:日本産婦人科学会「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」
(2019年6月10日最終閲覧)

対象になる妊婦さんを染色体異常がある可能性が高いと言われている要件を満たしている方に限定しています。日本産婦人科学会はNIPTの問題点として指摘していた⑶不特定多数の妊婦を対象としたマススクリーニングとしてNIPTを利用されることを防ぎたいという思いがあります。

検査対象疾患は3つのみ

同指針内では検査の対象疾患は以下の3つのみに限定しています。

  • 13トリソミー(パトー症候群):13番染色体が3本ある染色体異常
  • 18トリソミー(エドワーズ症候群):18番染色体が3本ある染色体異常
  • 21トリソミー(ダウン症候群):21番染色体が3本ある染色体異常

認定施設とは

認定施設とは十分な遺伝カウンセリングができると日本産婦人科学会に認定された施設のことです。同指針内では、以下のようにNIPTの実施施設を限定しています。

・産婦人科専門医と小児科専門医(日本産婦人科学会、日本小児科学会の認定を受けている医師)が常勤していること
・産婦人科医または小児専門医はどちらか臨床遺伝専門医(日本人類遺伝学会・日本遺伝カウンセリング学会の認定を受けている医師)であること
・遺伝に関する専門外来を設置すること
・遺伝カウンセリングを検査の前後で行うこと
・専門外来医を設置すること
・妊婦が侵襲を伴う胎児染色体検査を受けた後も、妊婦のその後の判断に対して支援し、 適切なカウンセリングを継続できること
・出生後の医療やケアを実施できる、またはそのような施設と密に連携する体制を有すること
※参考:日本産婦人科学会「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」
(2019年6月10日最終閲覧)

加えて、医師以外の認定遺伝カウンセラー、または遺伝遺伝看護専門職の在籍が望ましいとされています。

認定施設を定めることで、日本産婦人科学会はNIPTの問題点として指摘していた⑴十分な認識を持たずに検査が行われる可能性(2) 検査結果の意義について妊婦が誤解する可能性を小さくしたいという思いがあります。

日本産婦人科学会の指針の問題点

しかし、日本産婦人科学会の指針にも問題点があると指摘する声もあります。

指針に該当する妊婦さんしか検査を受けられない

同指針によると、NIPTは年齢が35歳以上、または胎児が染色体異常を持っている可能性が認められる場合しか診断を受けることができません。

同指針内では34歳以下の方は自身の子どもの状態を出生前に知るためにNIPTを受けたいと思っても受けることができません。

では、そのような考えの妊婦さんは出生前診断を受けることを辞めるのでしょうか?人によりますが、全員が辞めるとは言い切れません。NIPT以外にも出生前診断があり、34歳でも希望すれば受診することができます。しかし、選択肢は精度が低い母体血清マーカーテストか、リスクのある羊水検査しかありません。

つまり、NIPTを制限しても、他の出生前診断を受けることができるので出生前診断の拡大は防ぐことができない上、NIPTがあれば回避できるはずのリスクに直面しなければならないのです。

検査のために最低でも3回来院しなければならない

同指針によると、以下のように規定があります。

認定施設の要件に遺伝カウンセリングを検査の前後で行うこと。
※引用:日本産婦人科学会「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」
(2019年6月10日最終閲覧)

カウンセリングだけで2回来院が必要なので、検査を含めると合計で3回は来院する必要があります。

来院の際は夫婦そろってに来院しなければならない

来院の際の条件は回数だけではありません。ご夫婦揃って来院しなければなりません。同指針によると以下のように規定があるためです。

母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査を行った後に、医師が妊婦およびその配偶者 (事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)に説明し、理解を得るべきこと。
※引用:日本産婦人科学会「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」
(2019年6月10日最終閲覧)

夫婦の予定だけでなく、病院の都合も考えると、シングルマザーや夫婦共働きの方など、3回の来院は難しいと感じる方もいらっしゃると思います。そういった方は精度が低い母体血清マーカーテストかリスクのある羊水検査を選ぶしかありません。

無認可施設について

無認可施設とは日本産婦人科学会から施設認定を受けていない医療機関のことです。無認可施設は上記のような指針の問題点を考慮し、妊婦さんの年齢制限、来院回数、ご夫婦での来院が必須であるなどの条件を無くしてNIPTを実施しています。

無認可施設の検査は危険なのか?

無認可施設と聞くと「危険」「怪しい」といったイメージをお持ちになるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。

無認可施設は主にアメリカやイギリスのような出生前診断先進国の検査会社を利用するケースが多く、大学病院などが採用している検査会社よりも検査精度が高い場合があります。例えば先ほど紹介しました、ベリタナヘルス社のNIPTはアメリカの検査会社で、精度が高いです。さらに、産婦人科医師で遺伝の知識もある医師が遺伝カウンセリングを実施している病院もあります。

しかし、無認可施設の中には遺伝的な知識もないまま十分な説明をせずに検査を行なっている病院が存在することも事実です。産婦人科医ではなく、美容外科医や内科の医師が問診や採血を行っている病院もあります。NHKの取材によると、一部の無認可施設では陽性の結果が出たので診察で詳しく話を聞こうと申し出ても断られてしまうケースがあったそうです。

妊娠期間中を安心して過ごすために受けたはずなのに、検査後かえって不安な気持ちになったり、混乱したりしてしまうのは本末転倒です。誰が検査を行ってくれるのか、陽性だった場合の対応などは病院によって異なります。病院選びは慎重に行いましょう。

出典元:
NHK NEWS WEB「妊婦さん、その検査ちょっと待って~新型出生前検査の混乱~」
(2019年6月12日最終閲覧)

まとめ

NIPTは精度が高いこと、リスクが小さいことから受けたいと希望する方も多いかもしれません。しかし、施設によっては年齢制限がありNIPTを受けられなかったり、例え受検できたとしても、遺伝カウンセリングがなく、かえって結果に混乱してしまったりということも考えられます。

そういった施設の環境に左右されないためにも、ご予約される前に、そもそもNIPTを受けるのか、受けるならどこの施設で受けるのか、結果をどのように受け止めるのかをご夫婦で話し合いましょう。

また、その際に何か不安に思うことがあればかかりつけの産婦人科だけでなく、遺伝カウンセリングを行ってくれる専門医に相談したり、自ら情報を集めましょう。

産婦人科医 奥野幸彦 院長

医師監修:産婦人科医 奥野幸彦 院長

自己紹介

産婦人科医としてこれまで多くの相談を受ける中で、妊婦の方々がご出産までの約10ヶ間様々な不安な気持ちを抱えていることを知りました。そんな不安が少しでも減るように日々の治療・検査を通して妊婦の方々に向き合っていきます。

略歴

  • 1977年 大阪大学 医学部卒業
  • 1977年-1985年 大学病院・市民病院・救急病院などで勤務
  • 1986年 産婦人科・外科・内科を備える奥野病院を開院
  • 2000年 ジェンダークリニックを開院
  • 2017年 八重洲セムクリニックを開院

保有資格等

  • 日本医師会 認定産業医
  • 国際出生前診断学会会員
  • 日本産婦人科学会 認定医
  • 母体保護法指定医