もしNIPTの結果が陽性だったらどうする?結果が外れる可能性は?

NIPTは赤ちゃんの染色体異常が原因の先天性疾患を調べることができる、出生前診断の中でも新しい検査です。

最近では1年間の出生前診断全体ののべ実施件数70,000件のうち、NIPTの実施件数は13,000件と、約25%を占めており、妊婦さんの関心も高まっています。

NIPTには受診する際に考えておかなければ考慮しておかなければならない問題もあります。

それは検査結果が陽性だった場合にどのような行動をすればいいかということです。

陰性の結果を受け取り、安心するために受診したNIPTで、実際には陽性の結果が出てしまった場合、妊婦さんは不安な気持ちでいっぱいになってしまうと思います。

しかし、NIPTなどの非確定検査は結果が外れる可能性があります。

このコラムでは, NIPT陽性の場合、次に何をしたらいいのか、また不安な気持ちを取り除くためにできることをご紹介します。

ぜひ最後までご覧ください。

NIPT(新型出生前診断)とは

NIPTは出生前診断(出生前検査、出生前遺伝学的検査)の中でも、妊娠10週目から採血のみで検査ができるリスクのない検査です。

検査項目はダウン症候群(21番染色体が3本存在する染色体異常)、エドワーズ症候群(18番染色体が3本存在する染色体異常)、パトー症候群(13番染色体が3本存在する染色体異常)の3つです。

費用は約20万円です。

従来の母体血清マーカー検査は妊娠中に別の要因でも増えるマーカーを利用していましたが、NIPTはお母さんの血液に含まれている胎児由来のDNAを検査するため、精度が高いです。

日本では2013年から臨床研究として検査が開始されました。

しかし、認定施設では高齢出産である35歳以上の妊婦さんのみ対象にしていたり、遺伝カウンセリングを2回受診する必要があるなど様々な条件があります。

NIPTの特徴や、問題点などNIPTを受ける前に知っておたい基礎知識をまとめたコラムがありますので、詳しく知りたい方は合わせてご覧ください。

NIPT(新型出生前診断)とは?検査内容とNIPTの問題点

NIPT陽性の解釈とその後の対応

NIPTの検査結果は「陰性」か「陽性」と表示されます。

もし陽性という事実だけを聞いたら動揺し、間違いであって欲しいと望む方もらっしゃると思います。

実は、NIPTの検査結果は「陽性」と結果が出ても胎児に異常がないケース(偽陽性)もあります。

この章では、NIPTの結果が陽性の場合、その結果をどのように解釈すれば良いのか、またその後はどのように対応していけば良いのかご説明します。

NIPTの陽性の意味

NIPTの結果が陽性でも、実際には胎児には異常がないケースとは一体どういうことなのか、精度は99%と高いのではないのか、と疑問を持たれる方も多いと思います。

この「99%」という数字は実際に染色体異常を持たない人が正しく陰性と診断される割合(陰性的中率)です。

一方で、実際に染色体異常を持つ方が正しく陽性と診断される割合(陽性的中率)は96.7%です。

つまり、陽性の結果を受け取った100人の妊婦さんのうち、3人〜4人は実際には陰性の可能性(偽陽性)があるのです。

NIPTコンソーシアムの調査によると、検査を受けた人の中で陽性だった933人に対して偽陽性が認められた人数は81人いました。

陽性適中率は検査会社の技術、検査する染色体異常、妊婦さんの年齢によって変わります。

従来の非確定診断に比べ、NIPTの陽性的中率は非常に高いですが、確定診断ほど正確な検査ではないことに注意しましょう。

陽性かどうか確定させるためには確定診断である羊水検査を受けましょう

NIPTには、胎児に異常は無いが陽性と表示されてしまう偽陽性があるため、確定診断である羊水検査を受け、染色体異常の有無を確定することをおすすめします。

羊水検査は染色体モザイク(異常な染色体と正常な染色体の両方が含まれている状態)などの検査の限界がでなければ、ほぼ100%の確率で染色体異常の有無を診断ができます。

費用は約15万円です。病院によっては、NIPTの検査費用にNIPT陽性だった場合の羊水検査費用含まれている場合もありますので、確認してみてください。

羊水検査を受ける前に知っておいて欲しいこと

羊水検査では、胎児細胞を採取して検査を行うため、精度が高い検査ですが、代わりに気をつけなければいけない点もあります。

特に気をつけていただきたい、羊水検査のリスクと、羊水検査の実施時期についてご紹介します。

羊水検査のリスク

羊水検査ではまず、超音波検査で胎盤や胎児の位置を確認し、安全な位置から羊水を採取します。

検査当日に帰ることができる場合もあります。

しかし、羊水検査は羊水穿刺針の影響で流産(0.3%)、破水、出血、羊水感染症などのリスクがあります。

羊水検査のリスクについては以前コラムでご説明していますので、詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

羊水検査のリスクとは?リスクを避けるためにできる3つのこと

検査を受けられる時期と結果がわかる時期

妊娠15週〜16週以降に検査を受けることができ、おおよそ2週間〜4週間以降に結果がわかります。

中絶可能時期は21週6日までです。22週以降はいかなる理由でも中絶を行うことはできません。

羊水検査の結果を受けた後も、希望の処置について話し合いたいという方もいらっしゃると思います。

検査可能時期が近づいてきたら、早めに検査をご予約されることをおすすめします。

不安な気持ちを解消するためにできること

頭では偽陽性の可能性もあるため、確定診断を受けるべきであるとわかっていても、なかなか踏み出せない方もいると思います。

最近では、出生前診断で陽性を受け取った方の意思決定を助けてくれるサービスや支援団体があります。

混乱した気持ちのままなんとなく羊水検査に進むのではなく、今後のこと含めて誰かに相談してみてましょう。

遺伝カウンセリングを行う臨床遺伝専門医一覧「全国臨床遺伝専門医・指導医・指導責任医一覧」

「全国臨床遺伝専門医・指導医・指導責任医一覧」

遺伝カウンセリングとは臨床遺伝専門医と呼ばれる臨床遺伝学の研修を3年以上行い遺伝カウンセリングの実施した経験を積んだ専門医によるカウンセリングのことです。

遺伝カウンセリングの目的は、医学的な知識をわかりやすくお伝えし、自らの力で医療技術や医学情報を利用して問題を解決して行けるよう、心理的なサポートを含めた支援を行うことにあります。

かかりつけ病院の主治医だけでなく、臨床遺伝専門医専門家などいろんな人の話を聞いて少しずつ前に進めるかたもいますので、活用してみてください。

インターネット上に存在するピアサポート施設「ゆりかご」

 「ゆりかご」

ゆりかごは、病気や障がいと共に生きる子どもの将来について、知りたい人と伝えたい人をつなげる無料のマッチングサービスです。

ゆりかごは出生前診断を受け、産むかどうか迷っている方が、自律的に将来を選択できる社会を目指しています。

そのため、「同じような境遇にある仲間が助け合って課題を解決する活動」のことを指すピアサポートが必要であると考えています。

医療関係者以外にも、障害をもつご本人やそのご家族、障害を持つ子どもを亡くされた方なども登録しており、障害を持つ子を産んだ時の暮らしについてなどもお話しを聞くことができます。

ダウン症候群(21トリソミー)の支援者団体「日本ダウン症協会」

「日本ダウン症協会」

ダウン症(21トリソミー)のある子人たちと家族、支援者で作られている会員組織です。

高校生以上のダウン症を持つ子を育てているベテラン相談員さんが日替わりで相談を受け付けています。

地域ごとにも相談員さんがおり、地域の状況を加味して相談に乗っていただくことも可能です。

相談を受け付けている時間は以下の通りです。

*相談時間/月曜日から金曜日の10:00~15:00
  TEL: 03-6907-1824

エドワーズ症候群(18トリソミー)の支援者団体「18トリソミーの会」

「18トリソミーの会」

エドワーズ症候群(18トリソミー)のあるお子さんをもつ親のための会です。

エドワーズ症候群の医学的な説明だけでなく、18トリソミーをもつ子のご両親の思いが書き留められている「親の想い」というページや、また18トリソミーをもつ子の親のブログなどのリンクなどもあります。

実際に会ってお話を聞くことが難しい人にとって、ブログや「親の想い」は生の声を聞くことができる方法の1つです。

パトー症候群(13トリソミー)の支援者団体「13トリソミーの子供を支援する親の会」

「13トリソミーの子供を支援する親の会」

パトー症候群(13トリソミー)の子供とその家族を支援することを目的に、1998年5月に発足された支援団体です。

パトー症候群の医学的な説明や13トリソミーの子をもつ方のホームページのリンクがあります。

会員限定ではありますが、相互に連絡を取り合えるように会員名簿が共有されたり、掲示板などで悩みを相談することもできます。

ブログなど

カルパッチョの焼肉 – 2人目妊娠中 NIPT偽陽性の記録 他「カルパッチョの焼肉 – 2人目妊娠中 NIPT偽陽性の記録」
はるか「中期中絶の記録✳︎18トリソミー」

NIPTの検査で陽性を受け取った方の中でもブログを執筆している方がいます。

医師から医療的な話を聞くことはできても、同じ境遇の方がどんな想いで決断をしたのか知る機会はなかなかありません。

ブログは共感できる考えを見つけ、不安を和らげたり、決断するための後押しをしてくれます。

NIPT陽性=染色体異常確定ではない

繰り返しになりますが、NIPTには結果が陽性だとしても実際には染色体異常のない偽陽性の可能性もあります。

また、胎児の染色体異常の有無を事前に知ることで、分娩はNICUと呼ばれる新生児集中治療室が完備された病院で出産するなど、準備を整えることもできます。

NIPTの結果だけで全てを決めるのは早計です。まず、確定診断である羊水検査を受けて染色体異常があるか確定させましょう。

産婦人科医 奥野幸彦 院長

医師監修:産婦人科医 奥野幸彦 院長

自己紹介

産婦人科医としてこれまで多くの相談を受ける中で、妊婦の方々がご出産までの約10ヶ間様々な不安な気持ちを抱えていることを知りました。そんな不安が少しでも減るように日々の治療・検査を通して妊婦の方々に向き合っていきます。

略歴

  • 1977年 大阪大学 医学部卒業
  • 1977年-1985年 大学病院・市民病院・救急病院などで勤務
  • 1986年 産婦人科・外科・内科を備える奥野病院を開院
  • 2000年 ジェンダークリニックを開院
  • 2017年 八重洲セムクリニックを開院

保有資格等

  • 日本医師会 認定産業医
  • 国際出生前診断学会会員
  • 日本産婦人科学会 認定医
  • 母体保護法指定医