新型出生前診断の費用はいくら?検査費用には何が含まれているの?

妊娠中、赤ちゃんに病気や障害が無いか心配になり、出生前診断を検討される方もいらっしゃるのではないでしょうか。

中には、妊婦健診の超音波検査でNTと呼ばれるむくみを測定し、障害の可能性を指摘されたり、年齢的に染色体異常の可能性が高く、不安な気持ちの方もいらっしゃると思います。

最近では、出生前診断の中でも、新型出生前診断(NIPT)を希望される妊婦さんが増えています。

しかし、出産までには出生前診断以外にも出費が予想されるため、出来るだけ、安い検査を受けたいと思うのが本音ではないでしょうか。

このコラムでは、新型出生前診断の費用はいくらか、その費用で何がわかるのかをご紹介します。

新型出生前診断(NIPT)とは

新型出生前診断(NIPT)は、胎児が先天的な病気や障害を持っていないか確認する出生前診断 (出生前検査、出生前遺伝学的検査)の1種です。

2011年にアメリカで発明され、日本では、2013年から臨床研究として検査を導入されました。

母体の血液中には、胎児由来のDNA断片が含まれているため、「次世代シーケンサー」という、遺伝情報を全て網羅的に検査できる機械を利用することで、「陰性」または「陽性」を判断することができます。

新型出生前診断の特徴については後ほど詳しくご説明します。

新型出生前診断(NIPT)の費用

検査の費用の相場は約20万円です。また、他の出生前診断と同様に基本的に保険適応がなく、自費診療となります。

従来の検査の相場は、約3万(母体血清マーカー検査)〜約15万円(羊水検査)で推移していたため、少し高く感じる方もいるかもしれません。

しかし、新型出生前診断の費用の中には他にも遺伝カウンセリングの費用が含まれていたり、純粋な検査費用以外の費用も含んだ価格の場合もあります。

新型出生前診断の費用に含まれているもの

新型出生前診断の費用は検査を実施する医療機関によって異なります。

そのため、中には検査費用以外にカウンセリング費用が上乗せでかかったり、カウンセリングの時間によって費用が変わる医療機関もあります。

初回遺伝カウンセリング 8,100円
NIPT検査 177,660万円(結果説明時の遺伝カウンセリング料を含む)
上記以外の遺伝カウンセリング 5,400円
出典元:
NIPT検査の費用 | 出生前検査の遺伝カウンセリング(NIPT検査) | 鳥取大学医学部附属病院
(2019年7月13日最終閲覧)
■ NIPTを受ける場合、合計20万円程度かかります
(自費初診料、遺伝カウンセリング料、検査実費料)
*遺伝カウンセリング料はかかった時間により変動します
出典元:
母体血胎児染色体検査(NIPT)予約ページ 昭和大学病院産婦人科 東京都品川区
(2019年7月13日最終閲覧)

また、大阪の奥野病院と、東京の八重洲セムクリニックは、検査項目次第で費用が変わったり、検査の費用の中に陽性だった場合の羊水検査費用が含まれています。

基本検査(13番、18番、21番染色体、性別の検査):195,900円
全染色体検査(上記3つの染色体含む全染色体、性別の検査):220,000円
全染色体+微小欠失検査(全染色体と、微小欠失、性別の検査):230,000円
当院では、NIPTの提供と羊水検査は同一医療機関が行うべきだと考えており、検査結果が陽性だった場合、患者様への再診察及び羊水検査の提供等の検査後のフォローは徹底しております。
これまでにも、検査結果が陽性だった方でご要望があった際には、すべての方に再診察と羊水検査を提供しております。

新型出生前診断を受ける前に知っておきたいこと

新型出生前診断の費用は約20万円が相場で、他の検査に比べて高額であることは前述の通りです。

しかし、ただ検査費用が高額な検査であれば、NIPTを受診しない妊婦さんが多いと予想されますが、実際には、検査が導入されてからたった5年で、出生前診断の4割を占めるまでに検査件数が増えた人気の検査です。

つまり、高額な費用を払っても受けたいと思える理由のある検査ということです。

この章では、新型出生前診断を受ける前に知っておきたい、出生前診断の特徴や検査項目、検査を受ける条件、などをご紹介します。

基本的に検査項目は3つ

基本的には、新型出生前診断でわかる対象疾患は染色体異常の中でも、21トリソミー18トリソミー13トリソミーの3つのみです。

通常、21番染色体は2本1対で存在しますが、卵子の老化が原因で、3本に増えてしまうことを21トリソミー(ダウン症候群)と言います。

同様に、13番染色体が3本に増える異常を13トリソミー、18番染色体が3本に増えてしまう異常を18トリソミーと言います。

検査結果は陰性、または陽性と表示されます。

現状、根本的な治療法はありませんが、心臓の奇形など、合併症によっては治療することができます。

治療のため、出生後すぐに、小児科医による全身の検査や、療育センターでの言語聴覚士や医学療法士による療育が必要になります。

NIPTの特徴

NIPTは、従来の検査と一線を画しています。

従来の出生前診断には、精度の高さ、リスクの少なさ、検査時期の早さ、この3つを全て兼ね備えた検査はありませんでした。

そのため、今後はNIPTが、出生前診断の中でもスタンダードな検査になるのではないかと言われています。

そんな新しい出生前診断のNIPTの特徴を3つ、詳しくご説明していきます。

①精度が99.99%と非常に高い非確定検査

精度が99.99%と高いため、もし検査結果が陰性の場合は、リスクのある侵襲的な確定診断を避けることができます。

従来の非確定検査の精度は、母体血清マーカー検査 (クアトロテスト)が80%、コンバインド検査が83%で、かつ結果の表示も確率 (Ex.◯◯分の1の確率で染色体異常を認める)といったものでした。

そのため、結果の解釈によっては確定診断を受けるしかありませんでした。

②リスクのない検査

採血のみで検査ができるためリスクがほとんどありません。そのため、安心して検査を受けることができます。

従来の検査の中で精度の高い検査は、羊水検査や絨毛検査などの確定診断しかありませんでした。

しかし、確定診断はお腹に針を刺し(羊水穿刺)、胎盤や、子宮の中を満たす羊水中の胎児細胞を採取する必要があったため、流産 (0.1%〜0.3%の確率)や破水、出血、などのリスクがありました。

③妊娠初期の10週目から検査ができる

妊娠10週目から検査ができるため、話し合いの時間を多く設けることができます。

従来の検査では、絨毛検査が11週〜14週、羊水検査は15週、16週以降、母体血清マーカー検査は15週から18週、コンバインド検査は11週〜13週と、検査の時期が遅い検査もありました。

また、妊娠中絶は22週までのため、妊娠週数によっては希望の処置に間に合わない可能性もあります。

また、たとえ検査ができたとしても、短い時間で「産むか」「中絶か」の選択を迫られるため、精神的に病んでしまう方もいます。

新型出生前診断を受ける条件

現在、新型出生前診断は日本産科婦人科学会の指針に基づいて検査を運用しています。

その指針によると検査を受けられる施設や、妊婦さんには一定の条件があります。

1つ目は、受検できる妊婦さんの限定です。

35歳以上の高齢出産の方や、ご家族に染色体異常を患う方がいるなど、染色体異常の可能性が高いと客観的に評価できる方に限定しています。

2つ目は、認定施設でのみ検査を行う、医療機関の限定です。

認定施設の要件は、常勤の臨床遺伝専門医 (産婦人科医と小児科医)がいること、遺伝カウンセリングを行うことができること、遺伝外来を設置していることなどがあります。

該当する施設以外の他院から受診を希望すると、担当医の紹介状が必要だったり、分娩先を変えたり、完全予約制のため、予約に時間がかかったりする可能性もあります。

3つ目は、遺伝カウンセリングを最低2回受診することです。

遺伝カウンセリングとは、認定遺伝カウンセラーの資格を持つ方が、妊婦さんに自分の意思で決断をできるよう、遺伝相談をしたり、精神的なケアを行うカンセリングです。

しかし、この遺伝カウンセリングは、最低でも検査を受ける前後にそれぞれ1回行うため、採血当日も合わせると、3回は来院する必要があります。

また、夫婦2人揃って遺伝カウンセリングに臨まなければならなかったり、スケジュールを合わせることが難しい場合もあります。

無認可施設の存在

上記の指針には問題点もあります。それは、検査を受ける条件が厳しいため、NIPTを受けたくても受けられない妊婦さんがいることです。

そういった妊婦さんのニーズや、海外の検査会社から営業の煽りを受け、認可外で検査を行う「無認可施設」も存在します。

無認可施設と聞くと「危険」「違法」といったイメージがあるかもしれませんが、実際には、今まで出生前診断を長年実施してきた、産婦人科医や、臨床遺伝専門医が在籍する施設もありますし、違法な検査ではありません。

また、検査項目も、3つのトリソミー以外に、全ての染色体検査、性別検査、また染色体の一部がかけてしまう微小欠失症候群の検査ができたりと豊富に揃えていたりもします。

反対に、血液を採取するだけで検査ができてしまうその簡便さから、美容外科医など、専門的な知識を持たない医師が検査を行なっている施設もありますので、見極めが必要です。

検査の詳細や条件は検査を実施している医療機関によって異なるため、必ず検査を受ける前に電話などで確認しておく必要があります。

もし結果が陽性だった場合

NIPTの精度は99.9%と精度が高い検査ですが、これは「陰性と表示された方の中で、実際に異常がない可能性」を示す陰性的中率です。

「陽性と表示された方の中で、実際に異常がある可能性」を表す陽性的的中率は97.6%です。

つまり、陽性の結果を受け取った100人のうち、約3人〜2人は実際には異常がない偽陽性の可能性があるのです。

そのため、もし結果が陽性の場合は、確定診断である羊水検査を受ける必要があります。

羊水検査は、妊娠15週〜16週以降であれば検査を受けることができ、簡易的なFISH法で約5日、一般的なG-band法で2週間〜4週間後に検査結果が出ます。

新型出生前診断の費用は高いが得られるものも大きい

新型出生前診断は精度が高く、陰性の場合はリスクのある検査を回避できるメリットも大きい検査です。

とはいえ、検査費用が高かったり、偽陽性が全くないと言い切れないなどの懸念点もあります。

また、検査結果の捉え方次第では、安心して出産に臨むことができたり、子どもを迎えるために精神的な準備ができたりと、良い面もありますが、逆に混乱を招く可能性もあります。

どの検査を受けるのか、そもそも検査を受けるのか、出生前診断や、先天性疾患について十分に理解した上で決断してください。

産婦人科医 奥野幸彦 院長

医師監修:産婦人科医 奥野幸彦 院長

自己紹介

産婦人科医としてこれまで多くの相談を受ける中で、妊婦の方々がご出産までの約10ヶ間様々な不安な気持ちを抱えていることを知りました。そんな不安が少しでも減るように日々の治療・検査を通して妊婦の方々に向き合っていきます。

略歴

  • 1977年 大阪大学 医学部卒業
  • 1977年-1985年 大学病院・市民病院・救急病院などで勤務
  • 1986年 産婦人科・外科・内科を備える奥野病院を開院
  • 2000年 ジェンダークリニックを開院
  • 2017年 八重洲セムクリニックを開院

保有資格等

  • 日本医師会 認定産業医
  • 国際出生前診断学会会員
  • 日本産婦人科学会 認定医
  • 母体保護法指定医