40代の出産は高リスク?高齢出産における5大リスクとその対処法

晩婚化や女性の社会進出の影響で、分娩時の妊婦さんの年齢は年々上昇しています。

統計を見ると1975年には約5%ほどだった35歳以上の高齢で出産を迎える方が、直近の2017年では、30%を占めており、40代での出産を経験する妊婦さんも増加しています。

年齢が高くなると、妊娠出産にさまざまなリスクが伴うようになります。

「子どもが無事に生まれてきてほしい」と望む40代の妊婦さんにとって、危険性はできるだけ小さくして出産を迎えたいですよね。

このコラムでは、40代の出産における5大リスクと、その対策方法についてご説明します。

ぜひ最後までご覧ください。

40代の妊娠・出産時に考えられる5大リスク

一般的に高齢出産(高齢妊娠)とは、第1子を出産する35歳以上の初産婦を指します。

年齢の上昇と共に、出産のリスクは上昇すると言われていますが、特に35歳以上の妊婦はリスクが高いため、高齢妊娠と定義付けられています。

つまり40代の妊娠出産では、若い方の妊娠出産と比べ、リスクが大きくなりますので注意が必要です。

リスクは大きく分けて、5つ考えられます。

①妊娠率が下がる

40代の女性は、そもそも妊娠する可能性が低くなります。

日経DUALによると、20代では自然妊娠率が約25~20%、30代前半では約20~15%、30代後半では約10%と、母親の年齢が高くなるにつれて、妊娠率が下がっていき、40歳になると5%以下になります。

つまり、40代の妊婦さんは100人のうち、妊娠に至るのは5人未満で、残りの95人は妊娠に至らないと言うことになります。

同様に、不妊治療や体外受精の成功率にも大きく差があります。

杉山産婦人科によると、30歳までは約40%の可能性で着床しますが、40代以上になると、10%〜5%以下になります。

加齢によって卵巣機能の低下や、卵子の減少が起きることで、受精卵になりにくかったり、受精卵になっても着床しづらかったりします。

②流産率が上がる

40代の妊婦さんは流産率が高いです。

ワンモア・ベイビー・ラボによると、25歳〜34歳までの妊婦さんの流産率は10%〜11%であるのに対して、40歳以上の方の流産率は41.3%です。

流産の原因には、「不育症」と呼ばれる母体側の病気が原因で起きる流産と、赤ちゃん側の染色体異常による「自然淘汰」の2つがあります。

流産は全妊娠の約15%の割合で起きますが、その80%は赤ちゃん側の染色体異常による自然淘汰です。

染色体異常は卵子の老化などの要因で起こるため、年齢が高くなるほど流産率が高くなることにも納得できます。

③赤ちゃんが病気にかかりやすくなる

40代の妊婦さんは、先天異常のある子を産みやすいです。

特にダウン症など、染色体異常が原因の疾患の可能性が上昇します。

LabCorp社によると、20歳の妊婦さんがダウン症児を出産する可能性は1/1177ですが、45歳では1/21と、約56倍の差があります。

染色体異常の中でも、出生例があるのは21トリソミー(21番染色体が3本存在する異常、別名ダウン症候群。)、18トリソミー(18番染色体が3本存在する異常、別名エドワーズ症候群。)13トリソミー(13番染色体が3本存在する異常、別名パトー症候群)などが挙げられますが、多くの場合が流産してしまいます。

また、出生が確認されても、心疾患や知能障害などの合併症が発生する場合もありますので、治療と療育のサポートが必要になります。

④妊婦さんの病気のリスクが高まる

40代の出産でリスクがあるのは、胎児だけではありません。妊婦さんにもリスクが存在します。

主なリスクとして挙げられるのは、「妊娠高血圧症候群のリスク」「妊娠糖尿病のリスク」「死亡してしまうリスク」です。

順番にご説明します。

妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群とは、妊娠20週以降、分娩12週までに高血圧の症状が見られる疾患です。

全体の妊婦さん約20人に1人の割合で起こります。

重症化すると、母体にけいれん発作(子癇)や、血液が固まりにくくなるHELLP症候群、肺に水分が溜まり、呼吸しづらくなる肺水腫 、脳卒中などが発症するケースもあります。

また、胎児に対しても影響があります。胎児発育不全や、胎児機能不全、胎盤が子宮の壁からはがれて赤ちゃんに酸素が届かなくなる常位胎盤早期剥離、などの可能性もあります。

妊娠糖尿病

妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めて発見される糖の代謝異常です。

妊娠糖尿病は母体に妊娠高血圧症候群、羊水量の異常、肩甲難産、網膜症・腎症およびそれらが悪化してしまう可能性があります。

また、胎児には流産、形態異常、巨大児、心臓の肥大、低血糖、多血症、電解質異常、黄疸、胎児死亡などの可能性があります。

死亡のリスク

妊産婦死亡報告事業が、2010年~2016年に集積した事例の解析結果によると、年齢が高まるに連れて死亡率が高くなり、20代前半に比べ、40歳の死亡率は4.7倍になります。

死亡時の原因はさまざまで、妊産婦の 300 人に約 1 人に起こる産科危機的出血や、脳出血、羊水塞栓(心肺虚脱)などがあります。

⑤難産になりやすくなる

お産の際にも影響があります。特に高齢かつ、第1子を出産する初産の妊婦さんの場合、子宮口や産道が硬くなっており、難産になりやすい傾向にあります。

そのため、やむなく自然分娩から帝王切開に切り替える方もいます。

また、若い人と比較すると、体力が落ちてしまっていることから、産後の回復が遅いこともあります。

他にも、胎盤が子宮口を覆ってしまうなど、リスクの高い位置に移動してしまう前置胎盤の危険性も高まると言われています。

出典元:
30歳が1カ月で妊娠できる確率は20%、40歳で5% | USA発 ともこ先生の DUALな妊活A to Z | 日経DUAL
(2019年7月19日最終閲覧)
心配だからこそ知っておくべき 妊娠・出産の正しい知識 〜妊娠適齢期から考えるライフプラン【出産のリスク編】 | ワンモア・ベイビー・ラボ
(2019年7月19日最終閲覧)
妊娠高血圧症候群|公益社団法人 日本産科婦人科学会
(2019年7月19日最終閲覧)
妊産婦死亡報告事業 2010年~2016年に集積した事例の解析結果
(2019年7月19日最終閲覧)
妊娠糖尿病|公益社団法人 日本産科婦人科学会
(2019年7月19日最終閲覧)

リスクに対する対策方法

40代の出産は、リスクが存在することはお伝えした通りです。

事前にリスクがあるとわかっていれば、対策を練っておきたいと考える妊婦さんも多いのではないでしょうか。

生活習慣を見直したり、ある栄養素を食事に含めるように意識するなど、自分だけで簡単にリスク予防ができる方法もあります。

この章では、40代の妊娠出産におけるリスクの対策方法をご紹介します。

食事を見直すことで妊娠糖尿病を予防する

日本産科婦人科学会によると、妊娠糖尿病のリスクを抑えるには、血糖値を食前100mg/dl未満、食後2時間120mg/dl未満を目標に管理することが効果的です。

妊娠中の過度な運動は避けるべきなので、食事改善がおすすめです。食事のコツは大きく分けて3つあります。

1つ目は、1日3食食べることです。食事を抜くことで、その後の食事で血糖値が上昇しやすくなるという研究データがあります。

2つ目は、血糖値が上がりにくい食品を選ぶことです。

同じ穀類でも精白米の方が、未精製の穀物のよりも血糖値が上がりやすいと言われています。

また、スイーツを食べる時は、砂糖が多く含まれているケーキやあんこなどを避けるなど工夫することができます。

3つ目は、食物繊維が多いものから摂取することです。

サラダや、煮物など、食物繊維が多いものから摂取することで、満腹感が得られると共に、糖の吸収を抑えることができます。

葉酸を服用することで赤ちゃんの病気の発生率を下げる

葉酸とは、ほうれん草、アボカド、いちごなどに多く含まれている栄養素です。

妊娠中は通常時に比べ、大量の葉酸が消費されます。さらに、葉酸は赤ちゃんの脳、脊髄、内臓を作るために利用されます。

もし葉酸が不足してしまうと、胎児の「神経管閉鎖障害」や「口唇裂」のリスクが高まってしまいます。

そのため、厚生労働省は1日400μg(0.4mg)の葉酸が摂取できることが望ましいと妊婦さんに積極的に葉酸を摂取するよう呼びかけています。

もし食事だけで十分な葉酸を採取できない場合は、葉酸サプリなどの購入も検討してみると良いでしょう。

妊婦健診を受診することでリスクの予兆や対処法を知る

妊婦健診とは血液検査、子宮がん検診、超音波検査、体重、血圧、浮腫検査などを通し、妊婦と胎児が健康でいるか、安全に出産を迎えることができるかを確認する健診です。

医師は、40代の出産におけるリスクを熟知しているため、上記のリスクが発生していないか、その予兆はないかなどを詳しく調べてくれます。

医学的な意見を聞くことができる貴重な場ですので、もし不安に思うことがあれば相談してみるのも効果的です。

また、母子手帳に妊婦健診の結果を記入してもらい、日々のリスクを抑えるための対策に役立てることもできます。

上手に妊婦健診を利用しましょう。

出生前診断を受けることで胎児の先天異常やその対処法を知る

出生前診断とは、お腹の中の赤ちゃんの状態を調べる検査です。

生まれてくる前に、赤ちゃんの状態を知っておくことで、分娩をNICU(新生児集中治療室)が完備された大学病院で行うなど、赤ちゃんを迎える準備をすることができます。

一方、事前に赤ちゃんの状態を知ることで、人工妊娠中絶(死産)を選択したり、それによって精神的に追い詰められてしまうなど、利用方法によってはメリットもデメリットも発生する検査です。

上記のような問題点から、厚生労働省は新しい出生前診断(NIPT)に関して、検討会を設置し活発に議論しています。

そのため、妊婦検診で行う超音波検査以外の出生前診断は、基本的に希望者のみが検査を受けます。

一口に出生前診断といっても、染色体異常の有無を確定できる羊水検査や、採血のみで妊娠初期に検査ができるNIPTなど、さまざまな種類がありますので、興味のある方はこちらのコラムをご覧ください。

出生前診断の種類や検査内容とは?わかりやすく解説!

40代の出産にはリスクを伴うが準備をしておけば防ぐこともできる

40代の出産には、赤ちゃんやお母さんに一定のリスクが存在します。また、出産後の子育てにも体力的な負担があるため、気が抜けません。

しかし、リスクがあると知っていれば、対策を行うこともできます。

比較的簡単な対策もありますので、重篤な症状が出る前に少しずつ準備をしていくことをおすすめします。

安心して出産するための新型出生前診断(NIPT)という選択肢

■妊娠中のリスク管理には出生前診断が有効です

妊娠すると心身が変化をはじめ、妊婦さんとお腹の赤ちゃんは様々な要因から病気になるリスクが高くなります。出生前診断は妊娠管理の上で有益な情報源となります。

胎児に異常が見受けられる場合には早期に準備ができますし、流産しやすいなどの特徴が見られる場合は個別の対応をすることが可能になります。
早期の発見には、出生前診断の中でも採血のみで高精度の検査が可能なNIPT(新型出生前診断)がおすすめです。

■八重洲セムクリニック(東京)・奥野NIPTセンター(大阪 奥野病院横)のNIPTはこちら(新型出生前診断)
産婦人科の新型出生前診断NIPT

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