niptの偽陰性とは?陰性の場合羊水検査を回避できるって本当?

妊娠中、お腹の中の赤ちゃんが元気に育っているのか、病気や障害なく生まれてきてくれるか、など不安に駆られることもありますよね。

中には「NT(首の後ろのむくみ)を指摘された」「35歳以上の高齢妊娠のため染色体異常の可能性を心配している」など、特に心配事が多い妊婦さんもいらっしゃると思います。

そのように考える妊婦さんの中で、話題に上がっているのがNIPTです。

NIPT(non-invasive prenatal genetic testing、新型出生前診断)とは、2013年に臨床研究として運用が開始された、新しい出生前診断(出生前検査、出生前遺伝学的検査)です。

妊娠10週目から検査ができることや、高い精度が特徴のこの検査ですが、「偽陰性」や「偽陽性」もあります。

このコラムでは、気になるNIPTの偽陰性についてご説明します。

ぜひ、最後までご覧ください。

偽陰性がほとんどない精度の高い検査

偽陰性とは、実際には染色体異常が存在するにも関わらず、検査結果が「陰性」と表示されることです。

また、検査精度の中でも陰性のものを正しく陰性であると診断する「特異度」は99.99%です。

また、NIPTコンソーシアムの報告によると、陰性的中率と言われる、検査で陰性の結果を受けた方の中で、実際にはその病気には罹患していない方の割合は、99.99%です。

つまり、実際には偽陰性はほとんどありません。そのため、羊水検査や絨毛検査を回避することができます。

羊水検査や絨毛検査では、胎児細胞を検査に利用するため精度は高いですが、代わりに、成分を採取する際、流産や出血などのリスクがある検査(侵襲的検査)です。

陰性の場合、NIPTはスクリーニング検査として利用されています。

出典元:
NIPTコンソーシアム:NIPTコンソーシアムの使命、活動、「遺伝カウンセリング」とは?
(2019年8月2日最終閲覧)

NIPTの検査は偽陽性がないと言い切れない

偽陰性と相対する考え方で、偽陽性があります。偽陽性とは、実際には染色体異常が存在しないにも関わらず、検査結果が「陽性」と表示されることです。

NIPTコンソーシアムの報告によると、陽性的中率と呼ばれる、検査で陽性になった人の中で、実際にその病気に罹患している人の割合は89.4%です。

母体血の血漿中には、胎児の胎盤由来のDNA断片(cell-free DNA)が含まれています。

NIPTでは、DNA情報を網羅的に解析できる「次世代シークエンサー」という機械を用いて、DNA断片から塩基配列を検出し、「陰性」か「陽性」か判断します。

つまり、羊水検査や絨毛検査とは異なり、胎児細胞を利用する検査ではないため、診断を「確定すること」はできません。

そのため、結果が陽性の場合は、羊水検査を受けて、結果を確定させる必要があります。

NIPTの精度に関する注意点

NIPTの精度について注意しなければならない点が2つあります。

「年齢や検査項目によって、陽性的中率と陰性的中率は変動すること」と「判定保留」が存在することです。

この2点について詳しく説明します。

年齢や検査項目によって陽性的中率は変動する

NIPTは主に以下の3つの数的異常が検査項目です。

  • 21トリソミー(ダウン症候群):通常2本存在する、21番染色体が3本に増えてしまう染色体
  • 18トリソミー(エドワーズ症候群):通常2本存在する、18番染色体が3本に増えてしまう染色体
  • 13トリソミー(パトー症候群):通常2本存在する、13番染色体が3本に増えてしまう染色体

NIPTコンソーシアムの報告によると、陽性的中率はそれぞれ、21トリソミーが96.3%、18トリソミーが86.9%、13トリソミーが53.1%です。

特に発症確率が低い、13トリソミーだと、陽性的中率は約半分まで下がります。

また、年齢によっても大きく差が出ます。

大阪母子医療センターによると、21トリソミーの陽性的中率は30歳の場合61.3%、 35歳の場合80.0%、40歳の場合93.7%、45歳の場合です。

年齢が低い人ほど陽性的中率は下がりますので、検査を検討されている方はこの点に留意して検査を受けましょう。

出典元:
NIPTの概要 NIPTコンソーシアム:NIPTコンソーシアムの使命、活動、「遺伝カウンセリング」とは?
(2019年8月2日最終閲覧)

判定保留

何らかの理由により、血液中の赤血球が壊れてしまう溶血が起きてしまったり、検査機関側の検査機器の測定要件に適合せず、QCエラーが起きることがあります。

また、母体疾患の影響で結果が出ないこともあります。これらの場合は、再検査が必要になります。

これらの判定保留は、0.23%と非常に稀なケースですが、全く起きない訳ではありません。この点を理解した上で検査を受けましょう。

出典元:
無侵襲的出生前遺伝学的検査の現状と今後
NIPTコンソーシアム:母体血胎児染色体検査 先天性疾患と染色体疾患
(2019年8月2日最終閲覧)

検査精度は検査会社によって変動する

これらの検査精度は検査会社によって変動します。

例えば、大阪母子医療センターでの、21トリソミーの陽性的中率は30歳の場合61.3%、 35歳の場合80.0%、40歳の場合93.7%、45歳の場合です。

一方で、大阪にある奥野病院と、八重洲セムクリニックでは21トリソミー陽性的中率は25歳の方でも90%程度 、35歳の場合だと97.6%です。

そのため、検査精度について詳しく知りたい場合は、検査機関に直接確認しましょう。

まとめ

NIPTは偽陰性がほとんど存在しないため、スクリーニング検査として利用されています。

しかし、偽陽性があるので、陽性の場合はNIPTの結果だけで判断せず、羊水検査を受ける必要があります。

しかし、日本国内では、日本産科婦人科学会の指針に則って検査を実施しており、対象の妊婦さんを年齢が35歳以上の方に制限していたり、検査施設を制限していたりするので、自分が検査を受けられるか確認する必要があります。

また、「命の選別」「安易な中絶」などの批判や問題点もあります。

もし不安なことがあれば、ブログなどの体験記を読んだり、医師に相談してみましょう。

産婦人科医 奥野幸彦 院長

医師監修:産婦人科医 奥野幸彦 院長

自己紹介

産婦人科医としてこれまで多くの相談を受ける中で、妊婦の方々がご出産までの約10ヶ間様々な不安な気持ちを抱えていることを知りました。そんな不安が少しでも減るように日々の治療・検査を通して妊婦の方々に向き合っていきます。

略歴

  • 1977年 大阪大学 医学部卒業
  • 1977年-1985年 大学病院・市民病院・救急病院などで勤務
  • 1986年 産婦人科・外科・内科を備える奥野病院を開院
  • 2000年 ジェンダークリニックを開院
  • 2017年 八重洲セムクリニックを開院

保有資格等

  • 日本医師会 認定産業医
  • 国際出生前診断学会会員
  • 日本産婦人科学会 認定医
  • 母体保護法指定医