ダウン症(21トリソミー)の特徴とは?発症確率や原因など詳しく解説していきます

妊娠の喜びを感じたのもつかの間、心身の変化の訪れとともに「赤ちゃんは無事に元気に生まれてきてくれるのか」と不安を感じることが増えてくるかと思います。
先天性の疾患は確率的に起こりうるものですので対策することは困難ですが、疾患について正しく理解をし準備をすることで健やかな妊娠期間を過ごすことが出来ます。

今回は、先天異常でもっともよく耳にするダウン症について、「どんな疾患なのか」「発症の確率」「原因や症状」などを詳しく解説していきます。

ダウン症(21トリソミー)とは

ダウン症(21トリソミー)の正式名は、「ダウン症候群」といいます。

細胞分裂時に「不分離」という現象によって常染色体(22対44本の番号がついた染色体)の21番目の染色体が一本多く生じた状態です。
染色体が一本多くあるために細胞のはたらきが妨げられ、結果体の機能が十分でない生まれつきの体質とされます。

通常2本一組の染色体が1本余分に計3本存在する状態とトリソミーと言い、21番目の常染色体に発生することから「21トリソミー」と呼ばれます。
出生時の染色体異常のなかでは、もっとも発生頻度の高い疾患で合併症や程度、そして生まれた後の環境によって大きく個人差があります。

ふつうの子と殆ど区別が出来ない場合もあれば、障害といっていいほどたくさんの特徴が様々見られたりと、ダウン症候群の子供の特徴には大きな幅があり、病気というよりは体質と考える方が近いのかもしれません。

ダウン症(21トリソミー)の発症確率

ダウン症の発症確率は、母体の年齢によって異なります。
一般的に高齢出産といわれる35歳でのダウン症の発生頻度は大雑把にいって300人に1人の割合です。
但しこの数字には注意が必要です。インターネット上には様々な数値が出ており、高いものでは1/250、低いものでは1/450の確率と記載されているものもあります。

どれが本当の確率なのかと混乱してしまいそうですね。 これは妊娠中のダウン症候群の胎児の粒子残率が高く、妊娠のどの時期、あるいは出産時なのかでその確率が大きく変わることが要因です。 そして、ひとえに確率といっても受ける印象は個人個人ごとに違います。

ダウン症(21トリソミー)の特徴

ダウン症の子供は、顔立ちや手足などに大きな特徴があります。

■身体的特徴

小さく、後頭部が絶壁
つり目・離れ目
低く、小さい
小さく、頭部の低い位置についている
舌が大きいため、口が開いている
短い・手のひらに横1本のシワがある
外反母趾

全体的に身体の発達がゆっくりとしており、筋肉の緊張が低く柔らかいのが特徴です。
産まれたばかりのときはわからない場合も、成長とともに特徴的な顔つきに変化していきます。また成長するにつれて、身長が平均より低いことが多いです。

■精神的特徴

ダウン症の子供は筋肉や言葉の発達がゆっくりしており、精神的な発達にも特徴があります。話を聞いたり内容把握すること、抽象的概念の理解などは苦手ですが、感受性豊かで他人に対して思いやりがあります。また、形態・空間認知に優れているとも言われています。

性格 大人しい・おっとりしている
知能指数 IQ30~50程度が多いとされているが、個人差が大きい
併発しやすい障害 自閉症、うつ病、注意欠如・多動症(ADHD)、てんかん

健康な人に比べて知能指数が低い傾向にありますが、個人差がとても大きく一概にはいえません。
知的障害が重い人から健常者と同じように生活できる人、大学進学する人、一般企業に勤める人などさまざまです。

幼児のころに知能が向上していき、成人をすぎると知能低下する傾向があります。
知能についても個人差が大きいですが、早期から教育のサポートをすることで能力の向上が期待できます。

■合併症

必ずしも発症するわけではないものの、ダウン症の子供はさまざまな病気を併発する可能性があります。 ふつうの子供でも4%程度なにかしらの病気を持って生まれてきますが、ダウン症の子供はもっと高い頻度で病気を持っています。

心臓 心内膜欠損症、心房中隔欠損症、心室中隔欠損症、動脈管開存症
消化器 ヒルシュスプルング病、十二指腸閉鎖、食道閉鎖、鎖肛
血液 白血病
代謝・内分泌 甲状腺機能低下症、糖尿病、痛風、肥満
目・耳 白内障・斜視・難聴・中耳炎

たとえば生まれつきの心臓の病気は100人に一人と言われていますが、ダウン症の子供では40%程度に認められます。ダウン症候群には特有の病気があるわけではなく、全ての赤ちゃんが病気を持っているわけではありません。

ダウン症(21トリソミー)の原因

ダウン症は、21番目の染色体が一般の人より多くなってしまうことが原因で起こります。
また、ダウン症は以下の3つの型に分類されます。

一般の人 標準型 転座型 モザイク型
21番染色体 2本 3本(1本多い) 2本のうちのどちらかに別の染色体が付着 2本の細胞と3本の
細胞が混在

■標準型

ダウン症の約95%を占めます。 標準型は、受精卵ができる前の卵子か精子が成熟分裂というステップを踏む時にうまく分かれない(不分離)ことが原因で起こります。

■転座型

めずらしいケースで、全体の3~4%を占めます。
染色体の数ではなく、その構造に変化が生じたパターンです。 両親のいずれかが「転座」という形の染色体の保因者では、生まれてくる次子にある確率で同じダウン症が起こります。

■モザイク型

もっとも少なく、全体の1~2%を占めます。
モザイク型は21トリソミーの細胞と正常細胞が混在する状態で、一般に発達の遅れは軽度となります。 21トリソミーの細胞と正常細胞の比率によって程度が変わります。

ダウン症(21トリソミー)の検査方法

新型出生前診断(NIPT)などを受けることで、お腹のなかの赤ちゃんがダウン症である可能性を知れます。また、妊婦検診で行われるエコー検査で異常がみられ、発見される場合もあります。

■後頭部・首にむくみがみられる

妊娠初期のエコー検査において、胎児の後頭部・首のむくみ(NT)が厚いと、ダウン症の疑いがもたれます。ただし正常な赤ちゃんでも首のむくみはあり、通常の妊婦検診ではむくみの数値(NT)の正確な測定はしません。

エコー検査で異常がみられた場合は、胎児ドックや出生前診断などの受診をすすめられる場合が多いでしょう。

■鼻骨が短い

ダウン症の赤ちゃんは鼻骨の成長が遅く、顔が平坦にみえるのが特徴です。そのためエコー検査で鼻骨が短かったり、確認できなかったりする場合はダウン症の疑いがもたれます。

■心臓の弁に血液の逆流がある

心臓の三尖弁という弁に逆流があると、ダウン症の疑いが考えられるでしょう。だたし、正常な初期の赤ちゃんでも逆流はみられることがあります。
心臓の弁に血液の逆流があるだけで、ダウン症であると診断することはできません。この場合は、羊水検査・絨毛検査などの出生前診断を受けるかの検討が必要です。

ダウン症(21トリソミー)の治療法

ダウン症は遺伝子の異常であり、根本的な治療法はありません。しかし、多くのダウン症の人に起こる合併症の治療は可能です。
先天的な心臓や消化器の疾患は、生後すぐに手術をすることもあります。

定期的な受診をすることで、合併症の早期発見・早期治療だけでなく、予防に努めることも可能です。
また、ダウン症の子供は発育がゆっくりであるため、療育も重要です。主治医の医師やお住まいの自治体などに相談すれば、専門家のさまざまなサポートを受けられます。

ダウン症(21トリソミー)として生まれた赤ちゃんの今後は?

ダウン症の赤ちゃんは、18トリソミー・13トリソミーなどの染色体異常に比べて生存率はかなり高いです。合併症の治療ができるようになったことで、平均寿命の60歳を超える人も増えてきました。

しかしダウン症を根本から治療することはできず、成長とともに起こるさまざまな合併症に気をつけなければなりません。

医療や教育・社会福祉制度など、ダウン症の人を支えるサポートはたくさん存在します。周囲の力を借りて、ダウン症の赤ちゃんの成長を支えていくことが大切です。

NIPT検査の受診前に知っておきたいこと

新型出生前診断(NIPT)は非常に高い精度があり、年々検査を受ける妊婦さんが増えています。
しかし羊水検査などの確定検査とは異なる点があるので、検査をする前にしっかり詳細を把握しておきましょう。

検査方法の種類

NIPTは99.1%の検査精度があるとはいえ、あくまで非確定検査です。結果は「陽性」か「陰性」で示されます。 ダウン症などの染色体異常の可能性があるかどうか、といった判断しかできないため、正確な診断をするには確定検査を受ける必要があります。

母体に起こる危険性の有無

NIPTは妊婦さんの採血のみで検査が可能で、母体・胎児ともにほとんど負担がありません。
一方で羊水検査・絨毛検査は、わずかながら流産や破水などの可能性があります。
母子ともにリスクを避けるためにも、まずはNIPTを受診して、陽性が出た場合は確定検査を受けるか検討しましょう。

しかしながら、陽性が出た場合に人工妊娠中絶を選択する妊婦さんは少なくありません。
NIPTは手軽に検査ができますが、もしものときは「命の選別」を迫られるかもしれないものです。

万が一陽性が出た場合はどうするのか、パートナーとしっかり相談してから検査を受けましょう。

まとめ:ダウン症は早期治療と周りのサポートが重要

ダウン症は根本的な治療はできませんが、医療の進歩により現在は合併症の治療ができます。
定期的な通院により早期発見・早期治療、また教育・療育の環境をしっかり整えてあげることが重要です。

また、ダウン症の赤ちゃんの多くは心臓や消化器に先天性疾患があるため、設備の整った病院で出産するなど、赤ちゃんを迎え入れる準備が必要です。

妊婦検診でダウン症の疑いがあるとされた場合は、NIPTなどの出生前診断の受診を検討しましょう。

安心して出産するための新型出生前診断(NIPT)という選択肢

■妊娠中のリスク管理には出生前診断が有効です

妊娠すると心身が変化をはじめ、妊婦さんとお腹の赤ちゃんは様々な要因から病気になるリスクが高くなります。出生前診断は妊娠管理の上で有益な情報源となります。

胎児に異常が見受けられる場合には早期に準備ができますし、流産しやすいなどの特徴が見られる場合は個別の対応をすることが可能になります。
早期の発見には、出生前診断の中でも採血のみで高精度の検査が可能なNIPT(新型出生前診断)がおすすめです。

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