NIPTで性別がわかる?性別検査を行う施設と行わない施設の違い

出産を控え、赤ちゃんが何らかの病気や障害を抱えていないか、元気に生まれてきてくれるかなど、不安な気持ちでいっぱいの妊婦さんもいらっしゃると思います。

そのように考える妊婦さんの中で、最近、NIPTと呼ばれる新しい出生前診断を希望する方が増えています。

NIPTは99.9%と精度が高く、リスクが小さく、そして性別検査も一緒にできるというたくさんのメリットがあると耳にしたことがあるのではないでしょうか。

しかし、実は、NIPTで性別検査ができるのは限られた施設だけです。

このコラムでは「NIPTとはどのような検査なのか」「性別検査を行っている施設とそうでない施設の違い」をご説明します。

ぜひ、最後までご覧ください。

NIPTとは

NIPT(non-invasive prenatal genetic testing、新型出生前診断)とは、胎児が先天的な病気や障害を持っていないか確認する出生前診断 (出生前検査、出生前遺伝学的検査)の1種です。

2011年に米国が発明し、日本では2013年から臨床研究として検査が始まりました。

母体の血液中には胎児由来のDNA (cell-freeDNA)の断片が含まれています。

採血した母体血を、次世代シークエンサーという機械で遺伝情報を網羅的に解析し、胎児DNA断片の割合(fetal fraction)を検査します。

そのため、採血のみで検査する点、胎児由来のDNA断片を検査できる点から、検査精度の高さと、リスクを抑えることの両方を実現した画期的な検査です。

一方、従来の出生前診断では、他の要因でも上昇するマーカーを利用した、精度が低い検査か、羊水検査のように、羊水穿刺針の影響で流産や破水などのリスクがある検査のどちらかを選ぶしかありませんでした。

検査対象の染色体異常

出生前診断全般は特定の疾患のみの検査となります。NIPTの検査項目は染色体異常の中でも3つの疾患です。

  • 21トリソミー(ダウン症候群):通常2本存在する21番染色体が3本に増えてしまう染色体異常
  • 18トリソミー(エドワーズ症候群):通常2本存在する18番染色体が3本に増えてしまう染色体異常
  • 13トリソミー(パトー症候群):通常2本存在する13番染色体が3本に増えてしまう染色体異常
  • 現在、これらの疾患を根本から治療する有効な治療法はありません。しかし、合併症は治療することができます。

    そのため、出生前診断を用いて、事前に染色体異常の有無を把握しておくことで、合併症の治療を受ける準備をしたり、精神的な準備を行うことができます。

    特徴①検査精度が高い

    検査の精度は99.9%と非常に高い検査です。

    特に、陰性的中率が高い検査なので、検査結果が陰性判定の場合、高い確率で侵襲的な羊水検査などの確定診断を回避することができます。

    従来の母体血清マーカー検査(クアトロテスト)や、超音波検査 (エコー検査)、コンバインド検査の検査方法は、様々な要因で上下するマーカーを利用していたため、検査の精度は高くても83%でした。

    しかし、 他の非確定検査よりも精度が高いとはいえ、確定診断ではありません。

    陽性的中率は97.6%です。(妊婦さんが35歳の場合のダウン症の陽性的中率)そのため、陽性と診断された100人のうち、2人〜3人は実際には異常がない可能性があります。

    特徴②リスクの少ない検査

    NIPTは10ml採血するだけで検査ができるため、リスクの小さい検査です。

    従来の羊水検査などの確定診断では、お腹に針を刺して胎児細胞を採取する過程で、流産、破水などのリスクがありました。

    特徴③妊娠初期の10週目から検査が可能

    NIPTの検査は妊娠10週目から検査が可能です。

    従来の検査では、絨毛検査で11週以降、羊水検査は15週〜16週以降、母体血清マーカー検査で15週〜18週、など、検査の時期が遅い検査もありました。

    陽性と結果を受け取ったとき、産むか産まないのかの選択を迫られる可能性もあります。

    話し合いの時間を多く取ることができるため、検査を早く受けられることは大きなメリットになります。

    性別がわかるNIPTを実施している施設と実施していない施設の違い

    NIPTでは技術上、性別判定は可能です。実際に、アメリカなど海外では性別判定が行われています。

    しかし、日本では性別検査を行っている施設と、そうでない施設があります。

    その違いは、日本産科婦人科学会の認定施設かどうかです。認可外の検査施設、いわゆる無認可施設では性別検査を行うことができます。

    日本産婦人科学会の指針とは

    2013年、国内にNIPTを導入する際、日本産科婦人科学会は「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針」の範囲内で、NIPTを運用するように声をあげました。

    指針を設置した理由は、NIPTは簡便な検査であるため、「妊婦が十分な理解を持たずに検査が行われる可能性があること」「検査結果の意義を誤認する可能性があること」「マススクリーニング検査として検査が拡大されてしまうこと」を懸念したためです。

    指針内では、NIPTが実施される施設、対象になる妊婦さんを制限しています。

    検査を受ける条件①対象の妊婦さん

    検査を受けるには、以下の要件のうち、いずれかに該当する必要があります。

    1. 胎児超音波検査で、胎児が染色体数的異常を有する可能性が示唆された者。
    2. 母体血清マーカー検査で、胎児が染色体数的異常を有する可能性が示唆された者。
    3. 染色体数的異常を有する児を妊娠した既往のある者。
    4. 高齢妊娠の者。
    5. 両親のいずれかが均衡型ロバートソン転座を有していて、胎児が 13 トリソミーま たは 21 トリソミーとなる可能性が示唆される者。
    出典元:
    母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査に関する指針
    (2019年7月16日最終閲覧)

    高齢妊娠とは、一般的に35歳以上の妊婦さんを指します。

    上記の制限により、指針上、34歳以下の妊婦さんは精度が低い母体血清マーカー検査か、リスクが伴う羊水検査を選ぶしかない状況になっています。

    検査の条件②検査を実施する医療機関の制限

    実施できる医療機関は、条件を満たした「認定施設」のみに制限しています。

    条件には、産婦人科専門医と小児科専門医が常勤していること、また、どちらか一方が臨床遺伝専門医であること、遺伝外来を設置していることなどがあります。

    このような要件を満たすことができる施設は少なく、検査を受けることができる施設が遠かったり、紹介状が必要だったり、予約を取ることが難しい施設もあります。

    検査の条件③遺伝カウンセリング

    遺伝カウンセリングとは、臨床遺伝専門医や、認定遺伝カウンセラーと呼ばれる、臨床遺伝学の研修を3年以上行い、経験を積んだ専門医によるカウンセリングのことです。

    遺伝カウンセリングの目的は、医学的な知識をわかりやすくお伝えし、自らの力で医療技術や医学情報を利用して問題を解決していけるよう、心理的なサポートを含めた支援を行うことにあります。

    しかし、この遺伝カウンセリングは夫婦2人揃って受けなければならなかったり、最低2回受診することが必須になっているため、ご家族の状況によってはスケジュールを合わせることが難しい場合もあります。

    無認可のNIPT

    上記のような条件に当てはまらない妊婦さんは認可を受けていない、いわゆる「無認可施設」でNIPTを受けます。

    認定施設のNIPTと比較すると、年齢制限や来院回数などの制限がないため、1度の来院で検査を受けることができます。

    また、海外の検査会社を使用するため、検査の項目も豊富です。

    さらに、認定施設では3つのトリソミーしか検査ができませんが、無認可施設では1〜22番全ての染色体検査ができたり、性染色体異常も検査ができるため、Y染色体が見つかれば男の子、X染色体のみであれば女の子であると検査することができたり、性別検査の結果を教えてくれる施設もあります。

    検査の結果は郵送で送ってもらうことも可能です。

    双子の場合、性別検査の精度が落ち、Y染色体があるかどうかまでしかまでしかわかりません。

    つまり、Y染色体がないと表示された場合、双子の性別は2人とも女の子であるとわかりますが、Y染色体があると表示された場合、男の子2人、または、男の子と女の子の可能性があるということです。

     

    無認可施設は危険なのか?

    もし、NIPTで性別を知りたいのであれば、無認可施設でNIPTを受ける必要があると紹介しました。

    しかし、中には無認可施設は「危険」「違法」といったイメージをもたれる方もいるのではないでしょうか。

    確かに、無認可施設の中には、美容外科医など、専門的な知識を持たない医師が採血を行い、検査後の対応が薄かったりする施設もあります。

    NIPTは、採血のみで簡単に検査ができてしまうため、産婦人科以外の医師でも検査が可能です。

    しかし、実際には、無認可施設の中にも、長年出生前診断を行なっている産婦人科の医師や、臨床遺伝専門医の資格を持つ医師が採血を担当している施設もあります。

    例えば、大阪の奥野病院や、東京の八重洲セムクリニックでは、出生前診断歴40年、NIPTの検査実績6,500件の奥野院長が検査に当たっており、陽性の場合羊水検査の費用を負担してくれたり、中絶手術も承っています。

    無認可は施設によって対応が違うので、ご自身で調べてみることが必要です。

    奥野病院と、八重洲セムクリニックの情報を詳しく知りたい方、予約したい方はこちらをご覧ください。

    NIPTで性別を教えてくれる病院とそうでない病院がある

    NIPTの性別検査は無認可施設でしか受けられませんが、全ての無認可施設のサポートが薄い訳ではありません。

    とはいえ、「性別検査を受けるよりも、認可施設で十分な遺伝カウンセリングの元検査を受けたい。」という方もいれば、「自分で意思決定ができるので、性別検査を含む検査項目が多い検査を受けたい。」など、人によって検査を選ぶ基準は異なると思います。

    NIPTを受けられる際は、ご自身が、費用、検査項目、サポート体制、結果がわかるまでの日数、性別検査ができるかなど、どの点を重視していているか明確にし、夫婦でよく相談して決めましょう。

    もし、NIPTを受けるかどうか決めかねる場合は、NIPTを実際に受けた方のブログを見たり、産婦人科の先生に相談してみるのも良いかもしれません。

    産婦人科医 奥野幸彦 院長

    医師監修:産婦人科医 奥野幸彦 院長

    自己紹介

    産婦人科医としてこれまで多くの相談を受ける中で、妊婦の方々がご出産までの約10ヶ間様々な不安な気持ちを抱えていることを知りました。そんな不安が少しでも減るように日々の治療・検査を通して妊婦の方々に向き合っていきます。

    略歴

    • 1977年 大阪大学 医学部卒業
    • 1977年-1985年 大学病院・市民病院・救急病院などで勤務
    • 1986年 産婦人科・外科・内科を備える奥野病院を開院
    • 2000年 ジェンダークリニックを開院
    • 2017年 八重洲セムクリニックを開院

    保有資格等

    • 日本医師会 認定産業医
    • 国際出生前診断学会会員
    • 日本産婦人科学会 認定医
    • 母体保護法指定医